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職場での心理的安全性をつくりだす6つの方法〜日本企業における文化的要因からの考察〜

皆さんは心理的安全性という言葉を聞いたことがありますか?コロナ禍によってリモート化が進む中で、心理的安全性を確保しながら働くことができる職場をつくることは、現代の企業にとって重要さを増してきています。心理的安全性をつくりだすことは生産性の向上離職率の低下従業員のウェルビーイングの向上などにつながります。

しかし、日本企業にはこの職場での心理的安全性を確保する仕組みが欠けており、職場での心理的安全性が作り出せていないと言われることが多々あります。

なぜでしょうか?そして、どうすれば社員は心理的安全性を抱けるのでしょうか?

ここでは、日本における心理的安全性が確保しづらい文化的要因と心理的安全性をつくりだした取り組みの成功例と心理的安全性をつくりだす6つの方法をご紹介します!

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心理的安全性とは?

心理的安全性の概念の提唱者であるエイミー・エドモンドソンは心理的安全性を次のように定義しています。『心理的安全性とは個人的なリスクを取っても安全であるという、チームのメンバーが持つ共通の信念』

つまり、このことが意味するのは対人関係におけるリスクを負うことができる環境が大切であり、それを上司が作り出す必要があるのです。

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日本における心理的安全性が確保しづらい文化的な要因

まず、文化的な要因が考慮されていない場合、心理的安全性が低くなることがあります。日本では、以下の4つの領域が、企業が配慮すべき文化的要因として挙げられます。



1 厳密な階層構造

日本のビジネスにおける文化は、一般的に欧米よりも階層的です。権威ある人物(通常は年長者や経験豊富な人物)の言うことは、疑問や異議を唱えることなく受け入れなければならない(英語記事)という無言の圧力があります。このような圧力は、従業員が自分の要望やニーズをより高い地位の人物に直接伝える際に、不快感を抱かせ、心理的安全性が低下することにもつながります。


2 調和を優先する

日本の「和」の習慣は、集団の雰囲気や人間関係、他人の感情を乱すようなコミュニケーションは避ける、あるいは隠す(英語記事)という圧力があることを意味します。したがって、特に地位の高い人が中心となっている場合には、問題を指摘したり、意見の相違を唱えたりすることは通常避けられます。


3 会社のために犠牲を払うことを期待する

日本の企業は何十年もの間、第二の家族のようなもので、社員は終身雇用と引き換えに、自分の人生と忠誠心を捧げることを期待されていました。この状況は変わり始めていますが、このような根強い期待は簡単に変えることのできるものではありません。



4 完璧主義

日本には「面子を保つ」という習慣があり、恥をかくようなことは避けなければならないという社会的圧力があります。日本企業では、このことが上司が部下の業務の小さなことにまで干渉したり、ミスに対して厳しくなることが多いのです。

上記のような問題に対処しなかった場合の結果は、非常に大きなものになります。心理的安全性の欠如は、従業員の福利厚生、イノベーション、知識の共有、そして企業の収益に様々な悪影響を及ぼす可能性があるのです。これは決して日本だけの問題ではなく、フォルクスワーゲン、ウェルズ・ファーゴ、ノキア、ニューヨーク連邦準備銀行のような大企業が、近年その問題を対処しなかった代償として発見したことです。

一方、心理的安全性を重視する文化がもたらすメリットは、日本企業でさえも証明しているように、世界共通のものとなっています。

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日本における心理的安全性がもたらした成功例

ここでは、心理的安全性への取り組みを成功させた2社をご紹介します。

心理的安全性の取り組みの成功例1:MS&ADインシュアランス グループ

MS&ADインシュアランス グループの広報部次長である森瑠衣子さんは、東京に本社を置く同社が、「心理的安全性」を4つのコアミッションの1つに掲げていると話します。「さまざまなバックグラウンドを持つ社員が、異なる意見や衝突を恐れず発言し、それをもとに意思決定することで、新しいアイデアやイノベーションが生まれます」と森さんは話します。

森さんによると、MS&ADの心理的安全性を育むための主な取り組みには、次のようなものがあるそうです。

  • 社員とマネージャーがお互いをより良く理解するための教育

  • 社員と上司がしっかり合意した上で、具体的で明確な期待や役割を設定すること

  • 部下の失敗を許し、その経験から学べるように導くこと

  • 従業員が悩みを報告し、相談できる正式なスピークアップ制度の設置

  • 20代、30代の社員の価値観を調査し、年齢による上下関係をなくすこと

心理的安全性の取り組みの成功例2:日本コカ・コーラ

心理的安全性における取り組みのもう一つの成功例は、日本コカ・コーラです。日本・韓国人事担当副社長のパトリック・ジョーダン氏によると、『社員が自分らしくいられるように、年間を通じてさまざまな活動を行っています。例えば、各リーダーシップチームメンバーが主催する「クラブハウス」では、自分の経歴を話したり、参加者から公開質問を受けたりして、個人をより知ってもらうようにしています。』

このような取り組みは、社員が個人としてお互いを知り、サポートし合えるようにするだけではありません。他の人がどう反応するかを予測する能力を高めることで、心理的安全性を高めることもできるのです。

日本コカ・コーラでは、失敗に関する不名誉を取り除き、失敗を学習の機会として捉え直すための取り組みを行っているとジョーダン氏は語ります。2021年、私たちは "失敗 "コンテストを開催し、社員が失敗から学んだエピソードだけを共有しました。社内の社員は、「最もインパクトのあるストーリーだと感じたものに投票しました。」と言います。

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日本企業が心理的安全性を高めるための6つの方法

では、他の日本企業はどのようにすれば、心理的安全性を発揮できる環境を作ることができるのでしょうか。

それは、上層部ではなく、チームリーダーから始めることです。調査によると、心理的安全性の取り組みに対する上層部のサポートは、実際には何の影響も及ぼさないことが分かっています。真に心理的安全性が整った環境を得るためには、チームリーダーが率先して行動する必要があるのです。

具体的な行動として、企業やチームリーダーができることはたくさんありますが、ここでは、日本の状況において心理的安全性を育むための最も重要な6つのことを紹介します。

1. リーダーシップを発揮する

日本では上司の影響力が強いので、上司が心理的安全性を向上させる取り組みを率先して行うことが不可欠です。チームリーダーは、反対意見に対して冷静に、かつ感謝しながら対応することや間違いを素直に認めるなど、従業員にやってほしいと思うような行動の模範を示すことで、これを実現することができます。

2. 対立に対する認識を変える

チームリーダーは、不快な瞬間や人間関係の悪化に対して感情を傷つけないやり方で解決策を社員に示すよう努めなければなりません。そのためには、対立やその他の種類の「破壊的」な行動が、実際にグループのためになることを示すために、認識を改めることから始める必要があります。

3. 誰でも意見しやすい環境をつくる

チームリーダーは、経験、年齢、地位、教育レベルなどに関係なく、全員の声を聞きたいと考えていることを社員に伝える必要があります。また、社員の懸念やアイデアに真剣に耳を傾けることで、チームリーダーが全員の声を聞きたいと考えていることを社員が信頼するようにしなければなりません。

4. ヒエラルキーの削減

真のヒエラルキーの削減は、透明性を高めることから始まります。その上で、従業員に裁量権を与え、業務プロセスに対する自律性を確保し、重要な意思決定に参加させることが大切です。さらに、チームリーダーと社員が、信頼と協力の関係を築くために、仕事に関係のない場面で関わる機会も必要です。

5. 間接的なコミュニケーション手段を提供する

従業員が直接ニーズを伝えることに抵抗があると、チームリーダーがそのニーズを理解し、提供することが困難になることがあります。Attunedのような非対面のデジタルツールは、マネージャーが従業員について知り、相互理解を深め、より良いパーソナルなコミュニケーションの基礎を築くための効果的な方法となります。

6. 従業員のウェルビーイングを優先する

「机に向かっている時間が長いほど、仕事ができるわけではありません。」従業員のウェルビーイングを優先することは、生産性の向上、アウトプットの質の向上、モチベーションやコミットメントの向上につながります。また、従業員に対して、あなたが従業員を大切に思っていること、そして従業員があなたを信頼できることを示すことにもなります。

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心理的安全性を高めた職場づくりのために

Attunedでは、心理学者とデータサイエンティストのチームが、仕事に関係する内発的動機づけを洗い出し、クラスター化と検証を経て 11 個に絞り込みました。
それらの11の内発的動機のことを、動機づけるモノ・コトという意味で「モチベーター」と呼んでいます。

55の質問からなるモチベーションアセスメントを受けていただくことで、個人にとってどのモチベーターが最も重要なのか、どのような仕事で最高のパフォーマンスを発揮するのか、どのような環境で最も活躍する可能性が高いのかを示すモチベーター レポートを提供し、心理的安全性の高い職場を作るための手助けとなります。

ハイブリッドな職場環境において、企業が心理的安全性をどのように構築できるかの詳細については、Melissaのホワイトペーパーである心理的安全性と内発的動機を高める戦略 を無料ダウンロードしてみてください。

最後に、現在Attunedは30日間の無料トライアルも実施しています!ご希望の方はこちらをチェックしてみてください!

*本記事はGlobis Insightsに掲載されたものを日本語に翻訳し、わかりやすく修正したものです。原文で読むには、こちらをクリックしてください。


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Melissa Tarantola, Ph.D.

Attuned 心理学者

モチベーターレポート