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共働き夫婦の成功の秘訣

『デュアルキャリア・カップル―仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』の著者、ジェニファー・ペトリリエリとのQ&A。

フランスのフォンテーヌブローにあるINSEADビジネススクールの、組織行動学・准教授であるジェニファー・ペトリリエリ氏(以下、敬称略)は、デュアルキャリア・カップルの生活を何年もかけて調査し、何百人もの夫婦へのインタビューを通じて、共働き夫婦が幸せな生活を送るには何をすれば良いかを特定しました。そして、その成果を『デュアルキャリア・カップル―仕事と人生の3つの転換期を対話で乗り越える』という本で紹介しています。

この記事では、タニア・ラベサンドラタナ氏(以下、敬称略)からのペトリリエリへのインタビューを通じて、デュアルキャリアカップルが双方の内発的動機を満たし、持続的に良好な関係を築くための重要な問題を紹介します。

ジェニファー・ペトリリエリ(著者、INSEADビジネススクール組織行動学准教授)

(インタビューは簡潔かつわかりやすくするために編集されています。)


タニア 先生の著書デュアルキャリア・カップルをまとめると、「明確な考えや目的があってキャリアを築いていく(意図的であること)」だと思うのですがどうでしょうか?

ペトリリエリ そうですね。それは、すべてが計画されたものではありませんが、人生の中での選択において意図的であることは確かです。

タニア この本の中であなたが何度も言及なされているのは、私たちはある種のパターンに陥りがちだということです。異なるキャリアを歩んでいる夫婦と内発的動機はどのように関係しているのでしょうか?

ペトリリエリ 最も大切なのは、「何が欲しいか」という思考から脱却し、「どんな人になりたいか」という思考に入ることです。自分がどんな人間になりたいか?そして、どんな夫婦になりたいか?そして、どんな子どもを育てたいのか?そして、それを支えるコミュニティはどんなものだろうか?

私たちにとって良い生活とは何だろうか?それは都会での生活なのか?それとも、郊外での生活?それとも、田舎暮らし?

大家族の生活なのか?それとも、もう少し核家族的な生活なのか?地域に根ざした生活なのか?

このような問いに答え始めると、多くの疑問が解決されると思います。

タニア つまり、行動というより、アイデンティティということでしょうか?

ペトリリエリ それは、アイデンティティという自分だけの大きなライフプランについて考えることです。人は時に、「これはどうしたらいいんだろう」と考えることがあります。そこで、私はいつも、5年という時間軸を考えています。5年というのは、現実的には大きな転換ができる期間ですが、未来の自分を変えるために自分を投影できないほど遠い期間ではありません。5年先の自分を想像したとき、自分にとって、あるいは私たちにとって、良い人生とは何だろう?と考え、良い人生のための考えを育むことができるのです。

タニア この本の中で、あなたはこう書いています。「熟考しなければ、アイデンティティの意味は、選択をした数年後にしか明らかにならないのです。この本のためにインタビューした多くの人が、ある朝、突然目が覚めて、自分が予想もしなかった人生を送っていて、なりたくもない人間になっていることに気づいたと語っています。自分が決断するのではなく、決断が自分を作っていたのです。」これは普通のことなのでしょうか?私たちの多くは、他人が明確な人生プランを持っていることを想像していると思うのですがどうでしょうか。

ペトリリエリ これを、自分がどれだけ計画的に生きているかと同列に扱うのは間違いだと思います。なぜなら、それは誰の計画なのか、ということが問題だからです。そして、多くの場合、それは私たちのものではありません。例えば、20代後半の典型的な若者たちは、とても意欲的で、自分の将来のキャリアプランが描けているように感じます。このようなアイデアはどこから出てくるのでしょうか?私が卒業した当時は、テック系に進むのがトレンドだったので、技術系に進みました。私の両親は20代後半で結婚しましたから、私も20代後半で結婚することになります。だから、彼らはとても計画的で、とても方向性があるように見えるのですが、それは彼らの方向性だけではありませんし、計画性があれば全てが良いというわけではないでしょう。それは、「自分が計画の著者であるか」ということだと思います。そのプランがどれだけタイトなものであろうと、どれだけルーズで自由なものであろうと、それはあなたのプランなのでしょうか?それとも誰かの計画なのか?を考えることは大切だと思います。

タニア この本の中で、共働きの夫婦は色分けされたカレンダーを作ったり、計画を整理することには長けていても、夫婦の中のパワーバランスについては必ずしも考えておらず、それが憤りやすれ違いの原因になっていると書かれていますが、どういうことでしょうか?

ペトリリエリ 50対50のパートナーシップという素敵な考え方があります。もちろんこれは理想的ですが、決して現実的ではありません。なぜなら、相手に大きなピンチが訪れたり、家族に何か問題が起きたりと、何らかの理由でどちらかが譲歩しなければならないことが必ずあるからです。私が必要としているのはこれで私が欲しいのはこれ、と言える力があり、それがいつも手に入るとは限らないことも知っています。夫婦でお互いの人生を尊重し、キャリアの方向性を定めることが大切です。

私はいつも言っているのですが、誰がミルクを買うかについて議論している場合、それは決してミルクについてではありません。時間配分の問題でもなく、お互いの時間を尊重し、考えることが大切です。

50対50のパワーバランスのカップルが一番幸せだと思うでしょう?しかし、最も幸せなカップルは、夫婦内でのルールや役割分担が明確で、キャリアをリードするかフォローするかが明確なカップルです。

タニア 人生の重大な場面を夫婦で共同で決定しなければいけない状況でどのように会話をすればよいのでしょうか?

ペトリリエリ 一連で、有意義な会話というアイデアを、二人の関係の中に織り込んでいくことが大切だと思います。会話というものを神秘化し、特別なものでなくすることも重要です。これは、私たちが話すことの一つです。また、このような会話をしたことがないのであれば、小さなことから始め、お互いの理解を深めていけばいいのです。

(了)

こちらのインタビューの全文をご覧になりたい方はこちらをお読みください。

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Tania Rabesandratana

Science Journalist & Attuned Writer Fellow 2021