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【セミナーレポート】Next Genリーダーが、“心”と“価値観”を大切にする理由とは?リーダーシップ座談会

全4回シリーズのリーダーシップセミナー【Next Genリーダーが”心”と”価値観”を大切にする理由とは?】最終回では、これまでに行われた3回の講師が一同に会し、総括をしていきます。

大学や企業でのリーダーシップ教育に携わる小杉俊哉氏、オーセンティックリーダーシップを企業CxOに伝える川嶋治子氏、1on1ミーティングを通じた人材育成に携わる堀井 耕策氏をお迎えし、内発的動機の可視化ソフトウェア・サービス Attuned 日本事業部長 飯田 蔵土氏がモデレーターとなり、それぞれの立場から、次世代のリーダーシップ人材の育成に必要な観点をお伺いしていきます。

VUCAの時代、DX、リモートワークへの流れと労働環境の変化など、めぐるましくわたしたちを取り巻く外部環境が変わる時代にありながら、「心」や「自分らしさ」をベースとした「かわらない価値観」を手に入れていくために、何が必要なのでしょうか。


各回を振り返って

飯田)まず御三方に、各回でどんなことについてお話されたかを改めて簡単にお話頂いてもよろしいでしょうか?

(以下敬称略)

小杉)自律という言葉をキーワードにお話しました。自律とはキャリアを自ら切り開くことで、自らの責任で選ぶこと=「自責である」ことを意識する必要があります。一人ひとりに自律を促すためには、上司や組織が自律できるような環境作りを心がけることが重要になるのです。

小杉俊哉氏登壇代第1回セミナーの様子はこちらから

川嶋)多様性のある社会・組織において一人ひとりの違いを最大限に発揮するためにはリーダーはオーセンティックである必要があります。そのためにはまずはリーダーが自身の特徴を知り、自己受容と自己理解をすることで、自分と異なる人への他者理解・他者受容に繋げていくことができ、組織の心理的安全性も高まるということをご紹介しました。

川嶋治子氏登壇代第2回セミナーの様子はこちらから

堀井)小杉さん、川嶋さんの回でお話いただいた自律、多様性、自己理解/受容・他者理解/受容といったものをどう実現するのか?というところで1on1ミーティングを活用しましょうというお話をしました。部下が発言することには価値観が現れており、上司は部下がなぜそのような発言や行動をしたのかに向き合う必要があるのです。

堀井耕作氏登壇代第3回セミナーの様子はこちらから

多様化する価値観を企業や組織はどう活かすべきか

飯田)現在は非常に価値観が多様化していて、またキャリア上での選択肢も広がっています。しかし会社としてはひとつの方向に向かって進まないと力が発揮できないというのも現実だと思います。このジレンマがリーダーシップというテーマにおいてキーポイントになると考えるのですが、皆様どう思われますか?

小杉)上司の世代は、若い頃は上から言われたことだけをやっておけばよかったのでしょうが、現在はそうはいきません。「キャリア自律」がベターではなくマストになっています。同じような人材を揃えるのではなく、一人ひとりの多様性を生かさなければイノベーションも生まれず、会社の将来も危ういと経営者たちが気付き始めたのかと感じています。

堀井)そうですね。企業が目指すビジョン・ミッションと自身の方向性が一致はしなくとも、同じ方向ならその企業を選べば良いし、違った方向なら他の企業という選択肢もあるという話を前職の上司に言われたことがあります。ただ自分が向かいたい方向がどこなのか?まさにキャリア自律ですが、なかなか答えの出るものでもないですし、正しく理解することは難しいなと思います。

小杉)組織と個人でビジョン・ミッションの重なりが全く無いとなると苦痛でしか無いわけですよね。少しでも重なりを見つける、もしくは無理やりにでも重なりを作ることをしないと満足感は得られませんよね。

堀井)だからこそ自分の価値観や強み、興味関心を組織内でどのように活かすのか、それらと企業のビジョン・ミッションがどう重なっているのかを考える時間が必要ですよね。

川嶋)ミレニアル世代以降、Z世代の若者は、多様性の時代に生まれてきているので、もしかすると自然と自分はどうありたいのかを自律的に考え、また自身の大事にするパーパスの達成のための企業選びをしているのではないかなと思いますがいかがでしょう。

小杉)おっしゃる通りで、昔は特に理系学生だと研究室で先生に言われた企業に就職するなんてことも普通にありましたが、今の学生は社会課題解決の活動に取り組んだりと、企業として取り組んでいることを明確に示せない企業を選ばなくなってきていますよね。

堀井)企業も従業員もともに努力しなければならないですよね。1on1ミーティングを啓蒙している中で思うことは、部下が上司に依存されているケースが多いということです。しかし効果的な1on1ミーティングは、両者がその場をつくるために努力することだと私は感じています。これって企業と従業員の関係性についても全く同じことが言えると思います。

小杉)以前までは企業と従業員や、上司と部下の関係は上下関係に過ぎませんでした。いまでは、会社を辞めることも、残り続けて働くのも個人の選択であって、企業と従業員、上司と部下は双方の努力が必要な対等な関係性なのです。どちらかが努力を止めた時に、崩れてしまう関係性なのだと思います。

堀井)自分の役割を認識し、そこにどう貢献できるかが重要になってきますね。

川嶋)主体的に考えて動くことを部下も上司もしなければならないですよね。

マネージャーのあり方を変える

飯田)一方でマネージャーの立場になると、やはり部下やチームをリードしなければならないという使命感も出てきます。マネージャー、中間管理職であることの負担や辛さのケアはどうしていくべきでしょうか。

川嶋)多様性が増してきた状況下での辛さという観点でお話すると、会社の内外ともに多様性に溢れ、ビジネス的にも変化の激しい現在は、画一的な答えというのは存在しないために、マネージャーも辛くなっていると考えます。

マネージャー自身もプレーヤーとして忙しさに追われる中で、チームマネジメントのために、多様性を具体的にどう理解し、解釈をすべきなのかが分からず、どんどん負担として大きくなってしまい、困惑しているマネージャーが多いと感じます。なので例えばAttunedのような内発的な価値観を可視化するようなツールをうまく活用してみることも今後は必要なのだと思います。

堀井)よく研修をやっていて「部下が育ちません。どうしたらいいですか?」と質問をいただきます。私は「人は変えられません、でも変わるきっかけをいかに提供できるか」とお伝えするようにしています。部下を育成するための上司の行動がどうしても指示やアドバイスが中心となってしまっているように感じます。しかし本当に重要なのは、部下側の人にどう成長するかについて自身で考えてもらうことだと思います。上司が問いや内省を促すことも成長に必要な行動なのです。

小杉)私がよく遭遇するのは、1on1ミーティングにおいても管理をしようとする方です。指示するのは確かに簡単かもしれませんが、問いや内省を促すことが真の成長に繋がると思います。これは青山学院大学陸上部の原監督にお聞きしたお話ですが、選手から助言を求められた際には「君はどうしたい?」と必ず返すようにしているそうです。それをくり返すことで自律型の集団が出来た。

川嶋)先ほどもありましたが、上司と部下も対等な関係性なんだという前提を認識すると、お互いに力があるという信頼をベースに、コーチングに徹するということもできるでしょう。そうすると相手の足りない部分を教えなければ、管理しなければという負担に追われることも自ずとなくなるでしょう。

堀井)僕の師である、元上司の本間浩輔さん(ヤフー 執行役員)と1on1する時は、毎回必ず「今日何話す?」と聞かれます。なので、必ず事前に何を話すかについて考える癖が自然と付いていきました。

小杉)「自律」とは本人が自律しようと思わないと自律できないんですよ。自律させてあげることはできません。ただ上司ができることは、馬を水飲み場に連れていくこと、自律ができるようになるための環境を整えてあげることはやってあげなければいけません。

堀井)そこから水を飲むか飲まないかは本人次第ですね!

マネージャー1人でリードする時代は終わった

飯田)小杉先生も仰っていましたが、上司が正解を持って部下を牽引するような時代ではなくなっていると。マネージャーとしていろいろ考えて、挑戦してくださいと部下たちに促す一方で、チームの最終的な責任も取らなければなりません。なので最後の意思決定はマネージャー自身の価値観が大きく反映されると思うのですが、そこのバランスってどうしたらいいんでしょうか。

川嶋)なぜ上司と部下で異なるアイデアに至ったのか <Why> を一つ、二つ深堀りしていくことが大事だと思います。同じようなミッション・パーパスに共鳴して、会社に入ってきているはずなので、どこかしらお互いに共通の部分があって、対等に会話できるフェーズに持ち込むことができるのではないでしょうか。

小杉)価値観が違うから否定するというのはおかしい話で、会社のミッションやパーパス、ルールというのがあるはずですから、それに則って、これは違う、これなら合うのではないか?という議論をすることが必要じゃないでしょうか。自ずと合意が取れると思います。

堀井)皆が価値観がバラバラなのは良いことなんです。その上でお互いがどんな価値観を持って仕事をしているのかを理解できると、だからそのような発言や考えをしたんだというのが見えてくるので、まず心理的安全性も保たれます。そしてお互いの異なる価値観をどう擦り合わせていけば、最終的な目標に辿り着けるかを考えるのが大事になってくると思います。そのために自分を理解するってすごく必要だと思うんです。

川嶋)そうですね。多様性は、人それぞれに異なっていてそれが良いんだという前提ですよね。でも、価値観だけで物事を判断するのは間違っていて、個人の価値観の上位概念として、企業や組織であれば必ず目指すミッション・パーパスがあって、そこに多様な人材が集っていることが素晴らしいのであって、その個々の価値観を掛け算してゴールを目指していく姿勢が、今の時代のあり方だと思います。

小杉)少し話を戻すと、なぜ上司がしんどいかって話で、完璧でなければならないと思ってしまうからです。分からないことも、不得手なこともあって当然なので、それを曝け出すことです。そうすれば部下側からもフォローをしてもらえたりします。

堀井)1人のリーダーによって率いるのではなく、これからの時代は全員がリーダーであって、ひとつの目標に向けてみんなで考えながらチームで向かっていくことが必要ですよね。

この後もセミナーを視聴した参加者から、経営者として、マネージャーとして、人事として、それぞれのお悩みやコメントを多数お寄せいただき、それについてのディスカッションで大変盛り上がりました。

Attunedでは、世の中で働く人々が気持ちよく、最高のパフォーマンスをできることを支援するため、今後も様々なセミナーを開催していきます!


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