Attuned

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社員一人ひとりの力を最大化させる 「マネジメントツール」Attunedの魅力とは?


株式会社ドワンゴ
代表取締役社長
夏野 剛様


ニコニコ動画をはじめとする、多彩なデジタルコンテンツやサービスを展開するインターネットの総合エンタテインメント企業、株式会社ドワンゴ。同社もAttunedのユーザー企業の1つです。今回は、ドワンゴの代表取締役社長を務める夏野剛さんに、Attunedを導入した狙い、ドワンゴ内で生まれている効果、Attunedの効果的な活用法を中心にお聞きしました。

株式会社ドワンゴでAttunedの導入を決めた背景を教えてください。

経営者として人事において大事にしているのは、個人の達成したいビジョンや目標と、組織のビジョンをいかに一致させていくか。これが組織全体の生産性向上にも効果的だと考えています。なぜなら人は、自分の好きなことを好きな形で取り組めているときに、モチベーションが上がり、最大のパフォーマンスを発揮できるからです。

これを実現するには、従業員一人ひとりのモチベーション、つまり、どんな要素が内発的動機付けにつながるのかというのを、具体的に可視化し、組織として理解しておくことが欠かせません。そこで役立つと感じたのがモチベーションサーベイAttunedでした。

画期的なのは、個々人の現時点のモチベーションや価値観を可視化できるという点です。単なる性格診断だと個人のプライバシーも絡んできてしまう。また、組織風土診断のように社内全体の特徴を測定するツールでは、結局「ではこれからどうするのか」というアクションに結びつけにくい。

その点、Attunedの場合は、個々人の現時点での内発的動機づけのポイントを測定するので、導入がしやすい。さらには、診断結果をもとに「これからどんな対策をとるといいか」というソリューションまで提案してくれます。Attunedの存在を知ったときは、まさに自分が求めていたツールだと思いました。

株式会社ドワンゴ, 代表取締役社長, 夏野 剛

夏野さんは従業員の個々のモチベーションを高めることやその可能性を発揮させることを非常に大事にしていらっしゃるのですね。経営者、管理職の役割についてはどのようにお考えでしょうか。

経営者として大事なのは、従業員が主体的に動けるような環境をつくっていくこと。ドワンゴの場合は、グループ全体で1541人(2020年1月末)の力をいかに最大化させていくかを常に考えています。単に適材適所でその人に合った仕事をアサインするだけでなく、個人の潜在能力が100%出せるよう、個々に合った目標設定をしていくこと。それが経営者の大事な役割です。

もちろん、経営者一人でできることには限りがある。管理職に適切な「マネジメントツール」を与えて、的確なマネジメントをしやすい状況を整備することが求められます。マネジメントは、できるだけサイエンスに基づいて、合理的に行うことが望ましい。そこで、科学的裏付けがなされた、マネジメントツールとしてAttunedを導入しました。

夏野さんは、どうした背景から従業員のモチベーションを大事にするようになったのでしょうか。

私自身、これまで大企業のマネジメントを行ってきて、誰がボスになるかによって、組織のパフォーマンスがガラっと変わるのを実感したことが影響しています。日本企業では、高度経済成長期の名残で、「誰が社長や管理職になっても同じ成果を出せる組織がよい組織」という考えがありました。しかし、これは激しい変化のなかで新しい価値を生み出すことが求められる現在では、もはや幻想にすぎません。企業規模がどれだけ大きくなっていこうとも、働く人のモチベーションを理解し、彼らが自主的に動ける環境をつくれる経営者の存在が重要なのです。

Attunedを導入してみて、管理職・従業員の反応はいかがでしたか。すでに生まれている変化や効果はありますか。

診断結果が出ると、「期待していた以上に面白い」という声が増えてきました。ドワンゴではslackで社内コミュニケーションを行っていますが、社員が診断結果を自発的にslack上で開示し合っていましたし、私も自分の結果を公開しました。すると、各自がどんな価値観を大事にしているかを理解し合うのに役立っており、コミュニケーションの円滑化につながっていると聞きます。

自分の診断結果を社内で自然と共有する文化があるのもいいですね。

「自分のことを安心して開示できる」というのは、組織としての心理的安全性が保てている証なのだと理解しています。Attunedによって、管理職と部下のモチベーターの違いを可視化できた。これにより、管理職層から、「部下によってマネジメント方法を変えたら関係性がよくなり、部下のパフォーマンスが上がった」という声もあがっています。

たとえば、ある上司は競争性のモチベーターが強く、部下にも一律に競争心をかりたてるような目標設定をしていました。ですが、利他性のモチベーターが高い部下に対しては、その仕事がどんなふうに人の役に立つかを伝えながら目標を提示するようになった。このように、個々のモチベーターに応じてマネジメント方法を変えることで、部下の仕事への意欲が高まったケースも出ています。こうした事例が今後も増えていくことを期待しています。

特に管理職層からは、「この結果をどう活かしていけばいいか、もっと知りたい」という意見が多いですね。Attunedを受けた後に、診断結果を正しく理解し、部下のマネジメントに活かすための研修を受ける機会がありますが、みんな非常に積極的です。こういうフォローアップの研修は大事ですね。

© Dwango KK

夏野さんのお話をお聞きしていると、働く人自身が、何にモチベーションを感じるのかを知る必要があるのだと改めて思いました。

その通りです。経営者ですらリスクをとらずに安全策をとろうとするケースもありますが、変化の激しい時代においてはナンセンス。世の中が変化しているのに自分自身が変化を拒むと、それは現状維持ではなく「退化」につながります。

本来は、変化を恐れずにリスクをとり、自分のモチベーションや能力が発揮しやすい場所に移って挑戦するほうが、成果も出やすい。正しく動機づけがなされる環境を探すことが、メンタルの安定にもつながりますし、キャリアの一番の「安全策」といえるんです。

ドワンゴでは、従業員が使命感を感じられる仕事を発見し、挑戦しやすい状態を促すために、どんな取り組みを行っていますか。

まずは、「社内クラウドソーシング」という公募の仕組み。ドワンゴでは、社員が仕事で活かしていない才能や得意なことを公表でき、それをさまざまな部署の管理職が閲覧できるデータベースを整備しています。何か新しいプロジェクトを立ち上げるとき、このデータベースから人を探すことができます。たとえば、映画に詳しい社員がいるとわかれば、「今度映画に関するサービスを立ち上げるから、あの人に声をかけてみようか」などど、適材適所を促せるのです。

マッチングした場合、その社員の直属の上司は断れないという仕組みをとっています。アサインされた社員は、業務時間の10%を公募先の仕事に充てることができるのです。

そして、社員の挑戦を応援するための他の制度として、「社内ベンチャーキャピタル制度」があります。新しい事業をやりたい社員がいたら、事業計画書を会社に提出できます。成長する見込みがあると判断されれば、自己資金100万円にくわえてドワンゴから最大1000万円の出資で会社が設立できます。これにより、アントレプレナーシップのある社員のやりたいことを後押ししています。

ほかにも、異動希望はなるべく叶えられるようにしています。今後は、兼業・副業をしたいと考える人にもその希望が通るよう、もっと後押しをしていきたいですね。個々人が好きなことをやれるよう、できるだけ制限を取り払っていきたいですから。

これらはいずれも、社員に好きなことをしてもらうための施策です。才能の発揮の支援を惜しまないという方針は一貫しています。

Attunedのように、データにより従業員の可能性を引き出すという試みについて、どのようなお考えですか。データを活用した人材育成全般についてお考えをお聞かせいただければ幸いです。

テクノロジーはあくまでツールであって、どう使うか次第。経営の意思決定では、ロジカルに結論を導けることばかりではありません。だからこそ、データをとって分析し、合理的に判断ができることと、そうでないことを見極めることがますます必要になります。前者については科学的なテクノロジーを駆使して、判断の精度を上げていかなければなりません。経営者には、AttunedのようなモチベーションサーベイをはじめとするHRテクノロジーをうまく活用しようとする強い意志が求められるでしょう。その意志があってはじめて最適なマネジメントが実現すると考えています。

EQIQ 株式会社, CEO, Casey Wahl | 株式会社ドワンゴ, 代表取締役社長, 夏野 剛

Attunedの分析結果や提案を、今後の組織運営や人材育成においてどのように活かすとよいのか、夏野さんのアイディアをお聞かせください。

まずは、個々人のモチベーターを測定して、コミュニケーションの円滑化やその人の力が発揮されやすいマネジメントに活かすこと。くわえて、Attunedの良いところは、各自のモチベーターの「変化をウオッチできる」ところです。現状を一度診断して終わりではなく、継続的にモチベーターを測定し、その変化を追っていける。このことから、Attunedは、自社のマネジメントが良い結果を生んでいるかという、定期的なチェックツールとしても有効だと考えています。たとえば、直近の結果では、ドワンゴの場合はファイナンスのモチベーターが上位にきている部署が多かった。そこから、待遇の向上や、より上をめざせるような評価・報酬体系の構築が重要だという考えに至り、実際に動き始めています。

このように、Attunedの診断結果は、正しい見方をする必要があります。たとえばドワンゴ全体で自律性のモチベーターは低かったのですが、それは決して「自律性の低い人が多い」ということではありません。「マスコミ業界でのストレス度の低い企業ランキング」で1位に輝くなど、働き方も比較的自由で、自身の志向に応じたキャリア構築ができるようになっている。このように、すでに自律性が満たされているからこそ、他のモチベーターの必要性が相対的に高くなり、診断結果にも反映されているのだと見ています。

今後もAttunedの結果をうまく活用しながら、個人の価値観と組織の価値観の重なりが大きくなるような経営をめざしていきたいですね。


松尾美里
日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター

Attunedのブログ記事作成を行う傍ら、株式会社フライヤーにて経営者、著者へのインタビューを行う。 現在、自身のライフミッションとして「キャリアインタビューサービス」の活動を行う。面白い生き方の実践者に話を聞き、その魅力を発信している。 また、70名の生き方をまとめたブログ「教育×キャリアインタビュー」の著者でもある。