職場のコミュニケーションのOSにAttunedを チームの関係性の質が向上
たばこ事業企画室 人財マネジメントチーム 課長代理
古川 将寛様
JT(日本たばこ産業株式会社)様の組織開発プログラムでは、ひとりひとりが自立・自律に考え、行動する企業カルチャーをつくるべくさまざまな取り組みをしていらっしゃいます。この事業全体を横断した取り組みを進めるにあたり、ピープルアナリティクスの一助としてAttunedの活用を見込んでいます。
JTの組織開発プログラムを牽引し、Attunedの試験運用から本格導入も視野に入れてプログラムを運営している古川将寛さんにお話を伺いました。
職場の「関係性の質」を上げるコミュニケーションに取り組み
多様な人がいるチームの生産性をあげていく取り組みとして、MITダニエル・キム教授の「成功循環モデル」を参考にしながら関係性の質を上げていくコミュニケーション手段を探していたところAttunedと出会いました。
様々なパルスサーベイや組織改善プログラム、パーソナリティ分析アセスメントも使用していますが、現場のリーダーがそれを使いこなせているかというと、「スコアを見て一喜一憂している」状況があるように思います。現在のチーム状態はぱっと見て分かりはするものの、実際にリーダーが誰と具体的にどういうコミュニケーションをすれば良いのか、情報が多すぎたり、よく分からなかったりしていて、非常に優れたツールであっても100%使いこなしきれないのです。
Attunedは、一人ひとりの価値観を面で捉え、1対1のコミュニケーションにおける「対人コミュニケーションギャップ」、個人の集合体としてチームを見た「カルチャーマップ」でチームの価値観の傾向がわかるので、マネージャーが次にとるべきアクションが明確です。
チームの改善アイデアは、簡単なものから難しいアクションまで提案されており、例えば「ファイナンス」のモチベーターが満たせていないメンバーがいたとして、現場リーダーが報酬体系まで見直せるかは厳しいですが、その価値観を満たすために何ができるかと思考を巡らせることができます。
1対1、チームのコミュニケーションが劇的に改善
チームでコミュニケーションをとっていくなかで、私自身は前例踏襲ではなく「壊して作る」ことが好きなほうですが、必ずしもそうではないメンバーもいると感じていました。
Attunedの結果を見たところ、その傾向は一目瞭然でした。私自身のモチベーターでは創造性や合理性が「必須」で、社内外で新しいことに取り組んでいくことに目が向いています。
メンバーではそうでない人もいました。やる気を引き起こす要因が、一人ひとり違っているということが、手にとるようにわかりました。
例えば、論理性に優れその他のスキルも非常に高いメンバーがいるのですが、私自身はその方にチームの中心としてチームメンバーの支援にもっと力を入れて欲しいと思っていました。その方のモチベーターを見ると、合理性や利他性が「重要ではない」というスコアが出ていたのです。
これに私は納得し、本来マネージャーだけが見られる「対人モチベーターギャップ」のダッシュボード画面を見せながら、その役職における合理性や利他性が果たす役割や責任を説明したところ本人も非常に腹落ちし、チームパワーの発揮に非常に貢献してくれるようになりました。
こういったコミュニケーションのコツは、価値観の違いは良い悪いではないという前提のもと、対人モチベーターギャップのTipsを上司部下でオープンにして、むしろ楽しみながらポジティブな会話の材料にすることなのだと思います。
今では、他のメンバーに対してもどういう伝え方をすれば効率的なのか、AttunedのTipsを参考にしており、チームの共通言語として活用しています。
メンバー間でも、サーベイ結果のスクリーンショットを社内コミュニケーションツールのTeamsで送りあったりしているようです。
私のチームでは、マネージャーのIDやパスワードを共有して、メンバー間でも対人モチベーターギャップとコミュニケーションのTipsを利用できるよう、チームの理解を得ています。
例えば、仕事で衝突してしまったりして、うまくいかないこともあった2人のメンバーは、フィードバックと利他性に「対人モチベーターギャップ」がありました。
2人はお互いのその結果について、「フィードバック、利他性以外の価値観の差はあまりなかった」と認識され、「これまでは、いわゆる同族嫌悪の状態だったのではないか」と笑い飛ばしていました。
この状況を観察してみると、Attunedの結果を挟むことで、今まであまりうまくいっていなかったメンバー同士でも「異なる価値観が、問題を引き起こしていた」というチームの共通理解が生まれていることがわかります。
さらに、リーダーシップに優れた人ほど、そのような気づきを得られていると感じています。
コミュニケーションのOSをつくり、仕事の質向上に直結
組織における仕事の質は、アウトプットのクオリティはもちろんですが、それだけでは50%の完成度でしかなく、あとの半分はコミュニケーションの質で決まると思っています。
つまり、コミュニケーションの質を上げるだけで、仕事の質がかなりの部分、改善できるとも言えます。
職場のコミュニケーションを向上させるのに、意識的に共通の話題をつくり出していくことは非常に重要です。
個人的な話をして同僚と打ち解けることはもちろん有用です。例えば、昨日見たサッカーの試合の話をするなど。ですが、サッカー好きは盛り上がれますが好きではない人は話に入ることができません。
Attunedは、コミュニケーション上のギャップを埋めようという意識づけを行いつつ、職場のコミュニケーション改善のために社員に共通の話題について即効性を持って提供できる、ちょうどいい位置付けのコンテンツ、より踏み込んで言うなら”OS”になりえると考えています。
Attunedへの期待と今後の展望
コミュニケーション改善のための話し方などのテクニックの先には、例えば「そもそも、利他性とはどのようなことなのかを理解する」という課題が見えてくると思います。
将来的にAttunedのTipsではそこから一歩踏み込んで、「マイケル・サンデルの『白熱教室』を読んでみたら?」など、価値観について理解するのに有用な本や映画のリコメンデーションがあると、利他の気持ちを理解するきっかけが得られるようになると思います。
大企業では、背景にアカデミックに体系だって整理されたものがあり、また帰納的にその有用性が証明されているAttunedのようなプロダクトは受け入れられやすいと思います。
ほとんどの会社では、チームビルディングを研修などによって学び、真面目に取り組んでいこうとされていると思います。Attunedはそのように真剣に悩み考えている現場のマネージャーを具体的にサポートできる可能性があると思っています。
弊社でもAttunedの試験導入を早く終え、本格的に規模の拡大に取り組んでいきたいと考えています。
取材日:2021年1月27日