経営者の哲学が「幸福」であるべき理由とは
経済学者のリチャード・レイヤードは2020年3月に彼がダライ・ラマと一緒に定義した「幸せな生活を送るための10の鍵」について説明する『Can We Be Happier? 』を出版しました。この本には、人々が幸福感を高めるための非常に興味深く、そして驚くほど簡単な行動が紹介されています。
しかし、私たちの生活の中で中心的な役割を果たしているのは職場であり、企業も人々をより幸せにするために行動を起こさなければいけないでしょう。そのためには、現在のマネジメントの考え方を根本から見直す必要があります。
手始めに、企業は以下のような環境を整える必要があります。
従業員が自分の仕事のやり方により大きな影響力を持てる
管理職は、インスピレーションとリーダーシップを発揮できる人だけが任命される
従業員のウェルビーイングが追跡・測定される
Attunedは、相手の「内発的動機」を理解することが、より良いコミュニケーションの鍵になると考えています。マネージャーがチームメンバーにとって何が最も重要なのかを知ることができれば、マネージャーにとって最も自然に感じられる方法ではなく、チームメンバーにとって最も適した方法でコミュニケーションをとることができます。このようなアプローチにより、相互理解が深まり、摩擦がなくなり、上で述べたような新しい環境をより早く取り入れることができるようになります。
従業員に、働き方に対する影響力を持たせる
Attunedの11のモチベーターを使用することで、マネージャーはそれぞれの従業員にとって何が最も重要なのかを一目で把握することができます。例えば、他のチームメンバーと交流しながら仕事をしたいと思っているのか（社交性のニーズが高い）、一人で仕事をするのが好きなのか（自律性のニーズが高い）、あるいはこの2つを使い分けながら仕事をしたいと思っているのか。
一方「ファイナンス」と「競争性」の両方が高い社員は、自分の貢献度や目標を理解するために、評価や報酬に関する明確なルールを求めます。ただし、対象がチームか個人かによっても違いがあります。米国の社会総合調査のデータによると、チームや会社の業績に応じた報酬は、人々を仕事に対して前向きにし、辞めにくくすることが示唆されています。個人の業績に応じた給与は嫉妬心を生みますが、グループの場合はチームの団結を深めるからです。
また、従業員の中には、1日の中で最も生産性の高い時間帯に勤務時間を設定することにこだわる人もいるでしょう（自律性のニーズが高い人）。従来のフレックスタイム制度にはコアタイムと呼ばれるものがあり、すべての社員は特定の時間帯に出勤するか、オンラインで連絡を取ることが義務付けられていました。しかし最近では、いつどこで働くかを完全に自由に設定することができ、企業と従業員の間により高い信頼関係が必要となります。
また、従業員のパフォーマンスをどのように評価するかを明確にすることも重要です。特に安全性に対するニーズが高い人の場合はなおさらです。これは、従業員がどれだけ長く仕事をしているかではなく、何を達成したかで評価するための重要なポイントです。
またマネージャーは、従業員が安心して自分の仕事をコントロールできるように、従業員をよりサポートする必要があることも忘れてはいけない重要なことです。そのための最も簡単な方法は、自分の対人関係における盲点に注意しながら、自分らしくあることです。
マネージャーはインスピレーションを与えて導くことが必要
ノーベル賞を受賞した経済学者で心理学者のダニエル・カーネマンは、1日のうちで最も幸せな時間帯はいつかという研究を行いました。その結果、多くの人にとって1日の中で最も幸福度の低い時間帯は、上司と一緒にいるときであることがわかりました。つまり、一生懸命に働く意欲をかきたて、自分の仕事を高く評価してくれるはずの人によって最低の気分にさせられていることが多いということです。同様の結果は、ギャラップ社をはじめとする他の調査でも報告されています。
その原因のひとつとして考えられるのが、価値観の違いです。行動や性格に比べて、その人の価値観は非常に見えにくいものです。そこで、Attunedでは、対人関係におけるモチベーターのギャップを明らかにする可視化ツールを提供しています。
この機能を使えば、マネージャーは任意の従業員とのモチベーターのギャップを即座に確認することができ、コミュニケーションの際にその違い・自分にとって盲点になりやすいポイントを意識することができます。例えば、従業員が創造性に対する高いニーズを持っているにもかかわらず、マネージャーがそうでない場合、その従業員が活躍できるようなクリエイティブな環境が整っていない可能性があります。このようなギャップに注意を払うことで、コミュニケーションの摩擦を取り除き、より実りあるマネージャーと従業員の関係を築くことができます。このツールを使うことで、経験の浅いマネージャーでも、高いスキルを持ったピープルマネージャーになるための早道を歩むことができます。
従業員のウェルビーイングを測定可能にする
「測定できなければ改善もできない」とよく言われますが、これはウェルビーイングにも当てはまります。
企業にとって重要なのは、効果的なツールを使って従業員のウェルビーイングを定期的にチェックし、その結果を公表することです。そうすることで、会社の内部構造が透明化され、早急に対処すべき慢性的な問題が浮き彫りになります。このような問題に迅速に対処することで、企業は雇用市場において魅力的な存在であり続け、望まない離職を避けることができます。
精神疾患は、欠勤の原因の半分を占めるだけでなく平均的な企業の生産量を年間約2％減少させるため、ビジネスにとって大きなコストとなっています。HRマガジンが発表した研究報告によると、組織が従業員エンゲージメントの向上に力を入れると、仕事で達成感を感じているモチベーションの高い人々が現れるといいます。一般的に、これらの人々は個人的な幸福度も高くなります。
Attunedでは、従業員エンゲージメントを測定し、チームレベルと企業レベルの両方で結果を見ることができます。
データを掘り下げて、従業員エンゲージメントが低下している原因を明らかにすることも可能です。そのためには、各モチベーション要因を分析し、従業員のニーズを満たすための会社の取り組みを従業員がどのように評価しているかを知る必要があります。Attunedでは、この評価を天気のアイコンで表し、晴れから雷までで表現しています。
結局、従業員を幸せにすることは、パフォーマンスと生産性を最適化し、離職率を最小限に抑えるための鍵であり、適切なツールがあれば簡単にできることなのです