HR 用語辞典
このページでは、マネージャー、人事の方がよく耳にするHR用語に関して理解を深めることを目的として、用語の意味および参照すべきページを紹介しています。
イノベーション
新しいアイデアや技術、商品やサービス、ビジネスモデルなどを創造し、市場に提供することで、社会や経済の発展を促すことを指します。 イノベーションを促進するためには、次のような点が重要です。
・ダイバーシティの推進: 異なるバックグラウンドや文化を持つ人々を採用し、多様なアイデアや視点を取り入れることで、創造性とイノベーションを促進できます。
・インセンティブの提供 :イノベーションを推進する人材には、適切なインセンティブを提供することが重要です。報酬や昇進、プロジェクトのリーダーシップなど、様々な形で評価を行い、モチベーションを維持することが必要です。
・イノベーション文化の醸成 :社内にイノベーションに取り組む文化を醸成することが重要です。上司や同僚からのフィードバックやアイデアの共有、失敗を受け入れる風土を作ることで、社員が自由にアイデアを出しやすくなり、イノベーションが生まれやすくなります。
・教育や研修の提供: イノベーションに必要なスキルや知識を習得するために、社員に対して教育や研修の機会を提供することが重要です。特に、デザイン思考やクリエイティブ思考など、イノベーションに直接関係するスキルの習得が求められます。
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ウェルビーイング
身体的・精神的な健康や幸福感を総合的に捉えた概念で、個人が日々の生活において、充実した健康的な状態を維持することを目的とします。人事の面からウェルビーイングを促進するためには、以下のような取り組みが必要です。
働き方改革の推進:柔軟な働き方の導入や、リモートワークの推進など、従業員がストレスなく働くことができる環境を整えることが重要です。
ヘルスケアプログラムの提供:従業員の身体的健康状態を維持するために、健康診断や予防接種の提供、運動やストレッチなどのフィットネスプログラムの導入など、ヘルスケアプログラムを充実させることが必要です。
ストレスマネジメントの支援: ストレスが原因でメンタルヘルスの不調を引き起こすことがあるため、ストレスマネジメントに力を入れることが必要です。カウンセリングやメンタルヘルスの専門家への相談窓口の提供、ストレス解消法の教育などが挙げられます。
コミュニケーションの改善:職場のコミュニケーションが円滑に行われるようにすることで、ストレスの軽減や職場の雰囲気の改善につながります。定期的な面談やアンケート調査などを通じたフィードバックの提供や、社内SNSの活用などが有効です。
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行動経済学
行動経済学とは、人間の行動に関する心理学的・社会学的な要因を考慮に入れながら、経済学的な問題を解決しようとする学問です。
人間の行動は、合理的な意思決定に基づくとは限らず、しばしば誤った判断やバイアスが介入することがあります。行動経済学は、このような人間の行動の実態を考慮に入れ、経済的な意思決定を支援するための枠組みやアプローチを提供します。
人事の面では、行動経済学は、従業員の行動や判断に影響を与える要因を分析することで、従業員のモチベーションやパフォーマンスの向上、ストレスや不安の軽減、職場のコミュニケーションの改善などに役立つことがあります。
たとえば、従業員の退職率が高い場合には、行動経済学的手法を用いて、従業員の離職を防止するための対策を検討することができます。
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静かな退職
静かな退職とは、実際に退職するのではなく、自分の地位を維持するために必要最低限の仕事をするものの、一生懸命働くのを止めることを指します。
静かな退職が職場の生産性や業績に与える影響については、多くの懸念があります。この言葉には否定的な意味合いが含まれており、社員の仕事へのやる気をそぎ、継続的にパフォーマンスを低下させる可能性が高いのです。
しかし、逆に言えば、静かな退職とは、ワークライフバランスを整えるための試みでもあるともいえます。社員は精神的・肉体的な能力を仕事へ過剰に発揮して個人の幸福を犠牲にするのではなく、仕事とプライベートの境界線を再定義して強固にし、仕事が人生のすべてではなく一部に過ぎないという生き方を選択しているのです。
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従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントとは、従業員が自発的に会社の目的に共感し、自己実現や自己成長を求めて積極的に働く状態のことを指します。従業員エンゲージメントを向上させることが、従業員のモチベーションや生産性の向上、離職率の低下、企業の成果の向上などにつながることが期待されます。
従業員エンゲージメントを向上させるためには、従業員が働く環境や組織文化の整備、キャリアアップやスキルアップの支援、報酬制度や福利厚生の充実、コミュニケーションの改善、従業員の声を反映させた組織改善などが重要とされてます。また、従業員が会社の目的やビジョンに共感するために、リーダーシップの向上や、従業員の意見を反映させた経営方針の策定も必要です。
従業員エンゲージメントを向上させることは、従業員の満足度や生産性を高めるだけでなく、企業のブランド価値の向上や顧客満足度の向上、社会的責任の果たし方の向上など、企業全体の成長や社会的貢献にもつながることが期待されます。
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ジョブクラフティング
ジョブクラフティングとは、従業員自身が自分の仕事を改善するために、自らの意図や価値観、スキルや能力を活かして仕事を設計し直すことです。
従業員が仕事をより自分らしく、より楽しく、やりがいを感じるものに変えることで、生産性やモチベーションの向上につながるとされています。
ジョブクラフティングの方法としては、自己評価や自己分析、上司や同僚とのコミュニケーション、仕事の要素を見直すことなどが挙げられます。また、組織にとっても、従業員が自分自身の仕事に関わることで、業務の効率性やイノベーションの促進につながる可能性があります。
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【エンゲージメント向上】ジョブクラフティングを導入しよう! その目的とやり方
人的資本
従業員の知識、スキル、経験、モチベーション、創造性、コミュニケーション能力など、人としての能力や特性を組織的な視点からとらえた概念です。企業は人的資本を戦略的資源として捉え、従業員の能力向上や活用、育成や維持、引き留めに重点を置きます。
従業員がもつ人的資本を適切に活用し、育成することで、企業は競争力の強化や新しいビジネスチャンスの創出、イノベーションの促進、ブランド価値の向上などにつながります。また、従業員の能力向上ややりがいのある仕事、キャリアアップの機会の提供など、人的資本の活用に配慮することは、従業員のモチベーションや満足度の向上、離職率の低下、企業の社会的貢献度の向上などにもつながります。
人的資本の育成のために、トレーニングプログラムの策定、給与制度や福利厚生制度の改善、採用プロセスの見直しやキャリアパスの設定など、様々な取り組みが必要とされます。企業は、従業員がもつ人的資本を最大限に引き出すため、人事の面からのアプローチを常に意識し、従業員の能力向上やモチベーションの向上を促す取り組みを継続的に行うことが求められます。
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心理的安全性
心理的安全性とは、組織内で働く従業員が、自分自身や他の人々とオープンにコミュニケーションを取り、意見やアイデアを自由に表現し、失敗や不確実性を恐れずに行動できる環境を指します。人事の面から見ると、心理的安全性を促進するためには以下のような取り組みが重要となります。
リーダーシップの向上:リーダーは、自らが心理的安全性を実践することで、従業員たちに良い影響を与えます。リーダーは、従業員たちがオープンに話し合える環境を作り出すために、聴く姿勢やフィードバックの方法を改善する必要があります。
コミュニケーションの改善:組織内のコミュニケーションを改善することで、従業員たちがお互いに理解しやすくなり、心理的安全性を感じやすくなります。具体的には、フィードバックの文化を醸成したり、社員同士の交流イベントを定期的に開催することが有効です。
オープンな文化の確立:組織内にオープンな文化を確立することで、従業員たちは、意見を自由に表明できる環境を感じることができます。例えば、従業員のアイデアを受け入れる場を設けたり、失敗から学ぶ文化を根付かせることが重要です。 これらの取り組みが組み合わさることで、従業員たちは自信を持って表現することができ、より生産的で創造的な環境が作り出されます。
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ストレス
ストレスとは、外的な刺激や内的な心理的負荷などによって、人の心身に影響を与える状態のことを指します。職場においては様々なストレスが生じることがあります。
たとえば、業務の多忙や時間の制約、人間関係の問題、組織の変化や不確定性、個人的な問題などが考えられます。 ストレスが長期間にわたって継続すると、身体的・心理的な健康に悪影響を及ぼすことがあります。具体的には、心身の疲れ、不眠、食欲の変化、免疫力の低下、抑うつ、不安などが生じる可能性があります。
また、ストレスが強い状況下では、モチベーションやパフォーマンスの低下、欠勤や離職といった問題が生じることもあります。 人事の面からは、ストレスを回避するために、適切な職場環境の整備やストレスマネジメントの取り組みが必要とされます。
たとえば、適切なワークライフバランスの確保、コミュニケーションの改善、仕事の負担の分散、ストレス解消のためのプログラムの提供などが挙げられます。また、ストレスが生じた場合には、従業員のカウンセリングやサポートを提供することが重要となります。
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ダイバーシティ&インクルージョン (D&I)
ダイバーシティ&インクルージョンは、多様性を尊重し、異なる背景や人種、性別、年齢、性的指向、障がい、宗教などの多様な要素を持つ人々を包括することを目的とした組織内の取り組みのことです。
人事の観点から見ると、ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みは、採用から退職までの従業員ライフサイクル全体にわたって適用されます。これには、採用プロセスの多様性拡大、トレーニングと開発の機会の平等化、キャリアパスの透明性と公正性の確保、適切なコミュニケーションチャネルの提供などが含まれます。
ダイバーシティ&インクルージョンの重要性は、異なる背景を持つ人々が協力して働くことによって、より創造的で革新的なアイデアが生まれ、より幅広い視野から問題にアプローチすることができるためです。また、多様性を尊重する組織文化は、従業員のモチベーションや生産性の向上につながることがあります。
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内発的動機づけ
自分が興味を持ったり、楽しんだりしているからこそ、課題や活動を遂行しようとするモチベーションのことです。内発的動機づけはパフォーマンス、仕事の満足度、従業員のエンゲージメント、離職率、一般的な幸福などに関連しています。
内発的動機づけとと対置される概念にががい外発的動機づけがあります。外発的動機づけは、報酬や罰則のように外部環境から与えられます。 職場では、 ボーナス、休暇、昇進などのインセンティブや、批判、懲戒処分、解雇などです。 簡単に言えば、 「馬の鼻先にニンジンをぶら下げる」というアプローチです。
一方、内発的動機づけは、 個人の好みや価値観にあう 報酬とは関係のない
やる気 やりがいを感じることです。 組織心理学の研究から、内発的動機が、 エンゲージメントや生産性、 そして社員の幸せに強く結びついていることがわかりました。
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ナッジ
ナッジとは、経済的なインセンティブを変えたり、行動を禁止したりすることなく、意思決定に影響を与える方法のことです。 行動科学の知見の活用により、人の心に訴えかける「ナッジ」を発動させるためにはいくつかの方法が提唱されていますが、その一つが「内発的動機づけ」を活用するものです。
例えば、「社員に資格を取ってもらいたい」という場面を考えてみてください。これに対して社員の感じ方は決して一様ではありません。資格を取ることや勉強することが好き、自分が何か成長することに対して非常にやりがいを感じるという方もいる反面、そうでもない社員もいます。つまり人によって、内発的動機というのは様々にあるのです。
そのなかで、例えばモチベーションの中心が利他性である社員の場合、どのようにナッジできるか考えてみましょう。 例えば、「この資格がある人がこの部署にいると我々としてはこの案件を取ることができる(部署のためにもなる)から、ぜひその資格を取ってほしい」と伝えると、人のために行動したい利他性に訴えかけ、「資格を取る」という行動をナッジできる可能性があります。
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フォロワーシップ
フォロワーシップは、リーダーシップと対になる概念であり、従業員や部下がリーダーの指示に従うだけでなく、自ら進んで主体的に行動し、リーダーシップをサポートすることを指します。
フォロワーシップを重視する組織では、リーダーとフォロワーが互いに影響し合い、共に目標達成に向けて努力することで、より良い結果を生み出すことができます。フォロワーシップの重要性は、リーダーシップだけではなく、組織全体の成果や従業員の自己実現にも関わっています。
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フロー状態
フロー状態とは、自己のスキルとチャレンジのバランスを保ちつつ、タスクに完全に没頭している状態のことを指します。
この状態になると、時間が経つのを忘れたり、周りのことが気にならなくなったりするほど、仕事の生産性が向上することがあります。
人事の面から見ると、フロー状態は、労働者が仕事に熱心で、生産的であることを示唆しています。また、フロー状態を促進することで、仕事に対するやる気や意欲を高めることができます。
フロー状態を促進するには、仕事の難易度と労働者のスキルのレベルを調整することが重要です。難しすぎるタスクに取り組ませるとストレスがかかり、逆に簡単すぎるタスクではモチベーションが低下する可能性があります。また、適度なフィードバックにより、従業員が自分がどの程度進捗しているのかを把握し、フロー状態を継続させることができると考えられます。
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マネジメント
マネジメントとは、組織やチームを効果的に運営するための活動であり、目標達成に向けて人や資源を統制・調整し、計画的に運用することを指します。
従業員の採用や配置、教育研修、評価や報酬制度の設計などを行うことで、組織やチームの生産性やパフォーマンスを最大化することが目標となります。また、従業員のモチベーションやエンゲージメントを高めることにも注力し、組織全体の成長や発展に貢献することが求められます。
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モチベーション
仕事に対して感じる「やる気」を指します。動機づけと同義と考えていただいて構いません。このようなモチベーション、あるいは動機づけには、「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。
外発的動機付けとは、報酬や罰のように外から与えられるインセンティブのことです。一方、内発的動機付けとは、外発的要因によるものではなく、自分が興味を持ったり、楽しんだりしているからこそ、課題や活動を遂行しようとするというような意欲を刺激するものです。日本の会社員は他国と比べて仕事へのモチベーションが低いといわれおり、幸福感、生産性向上のためにもモチベーションの向上が課題となっています。
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リテンション
リテンションとは、企業における従業員の定着率を意味します。人材を確保するためには、採用コストを削減し、安定した生産性を保つためにも、企業におけるリテンションの向上が重要です。
リテンションを高めるためには、以下のような取り組みが必要です。
人材育成プログラムの提供:従業員が自己成長できるよう、教育やトレーニングプログラムを提供することが重要です。また、自己成長に伴い、キャリアアップの機会も提供することが求められます。
公正な報酬体系の構築:給与や昇進の機会など、報酬制度を公正に運営することが求められます。報酬が公正であると従業員は自分の成果に対して報われると感じ、モチベーションを高めることができます。
コミュニケーションの促進:従業員とのコミュニケーションを頻繁に行い、意見やフィードバックを共有することで、従業員が企業に帰属意識を持ち、定着率が向上することがあります。
ワークライフバランスの改善:働き方の改善に力を入れ、従業員が仕事とプライベートを両立できるような環境を整備することが必要です。これにより、従業員のストレスを軽減し、ワークライフバランスの改善に繋がります。 リテンションを向上させることで、従業員の定着率が高まり、生産性が向上することが期待できます。
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リスキリング
リスキリングとは、従業員が持つ既存のスキルや知識を強化したり、新しいスキルを身につけることで、変化する業務環境や市場環境に対応できるようにする人材育成の手法の一つです。
具体的には、新しい技術やビジネスモデル、法律・規制の変化などに対応するために必要とされるスキルを従業員に教育し、育成することが目的となります。人事の観点からは、従業員の将来の成長や業務の遂行に必要とされるスキルセットを把握し、適切な教育プログラムを設計・実施することが求められます。
リスキリングによって、従業員のモチベーションやキャリアアップの機会も向上し、組織の成長や競争力を維持することができると考えられています。
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1on1ミーティング
1on1とは、マネージャーと部下が1対1で定期的に行う面談のことを指します。この面談では、業務の進捗状況や課題、個人の成長に関するフィードバックなどが話し合われます。
部下が自己開示しやすい雰囲気を作ることで、コミュニケーションの質を向上させ、モチベーションや生産性の向上につなげることができます。また1on1ミーティングはパフォーマンスの向上にも貢献します。このような1on1ミーティングには従業員、上司、組織全体のそれぞれにメリットがあります。
従業員にとってのメリット:従業員は上司から適切なフィードバックやアドバイスを受けることができます。上司からのサポートを受けながら成長できるだけでなく、経験豊富な上司から客観的な意見を得ることもできます。
上司自身にとってのメリット:1on1ミーティングは上司のコーチングやリーダーシップスキル向上の機会となります。部下との真剣な対話やフィードバックの提供は、上司自身の成長につながります。
組織にとってのメリット:定期的な1on1ミーティングを行うことで、従業員エンゲージメントが高まります。調査によれば、1on1ミーティングを行う場合はそうでない場合より、エンゲージメントが約3倍高くなるとされています。
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MVV
MVVは、Mission(使命)、Vision(ビジョン)、Values(価値観)の略称で、組織が定めるビジネスの方向性や文化を示すフレームワークです。人事の面から見ると、MVVは従業員にとって組織の方向性や目的を理解する上での基礎となります。使命やビジョンは組織の目標を示し、従業員が共感しやすいようなビジョンを提示することで、より目的意識を持ち、組織の成功に貢献することができます。
また、価値観は、組織文化を形成する上で重要であり、従業員がどのような行動を取るべきかを明確に示すことで、チームの一体感を生み出し、共通の方向性を持った行動を促すことができます。したがって、MVVを明確に定め、従業員に共有することは、組織の目的達成に向けた戦略的な人事マネジメントの一環となります。
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VUCA
VUCAは、Volatility(不安定性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った用語で、現代社会における環境の特徴を表します。人事の観点からは、VUCAな環境下でのリーダーシップや組織マネジメントに対応するため、柔軟性や創造性を求められます。具体的には、従業員のスキルアップや組織文化の変革、チームビルディングなどが必要になるでしょう。
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