心理的安全性を高め、イノベーションを生み出す組織づくり風土づくりのポイント
〜『利他性』と『創造性』が鍵?〜
私は、「利他性」や「創造性」をモチベーションとする管理職や上司がいれば、チームの「心理的安全性」を高めることができるという仮説を立てました。
ここでは利他性と創造性のモチベーターが必須のマネージャーがチームに好影響を及ぼす理由を考察していきます。
利他性とは?
Attunedが定義する利他性は他者を助け、支え、幸福を維持しようとする動機づけ要因です。つまり、必ずしも見返りを期待するのではなく、ポジティブで親切な雰囲気をつくり出そうとする意欲にしたがって行動するものです。
利他性をトップモチベーターとする人の特徴
グループの雰囲気を重んじる
新入社員を積極的に指導する
知識や情報を惜しみなく共有する
問題解決のために同僚や部下をサポートする
組織の価値観の重要性を認識している
Attunedのデータを見てみると、利他性を必須モチベーターになっている人は全体では4番目に多く、9人に1人の割合でモチベーションの最上位となっていることがわかります。31%のマネージャーは、利他性が必須モチベーターです。
利他性を必須とするマネージャーはチームを助け、指導し、サポートしたいと考えるでしょう。しかし、そのために自分の時間を犠牲にしてしまうこともあるかもしれません。具体的には、指示に従いすぎたり、多くを抱え込みすぎたりするため、タイムマネジメントなどのスキルも必要でしょう。
心理的安全性をつくりだすために、利他性を生かすには?
ハーバード・ビジネス・スクールのリーダーシップとマネジメントの教授であるエイミー・エドモンドソンは、「心理的安全性とは、非難や軽蔑を恐れずに、質問、懸念、間違い、反対意見などを述べるという対人関係のリスクを取ることができると信じることである」と定義しています。言い換えれば、チーム内に相互の信頼感を生み出すことです。また心理的に安全な環境は社員のエンゲージメントやウェルビーイングの向上、イノベーションの機会の増加、離職率の低下など、さまざまなメリットをもたらします。
利他性を必須モチベーターとするマネージャーは新入社員を指導し、知識を共有することに重きを置きながら、組織の雰囲気を良くしようとする行動をとります。ここから信頼を築き、持続させることで心理的安全性が高いチームへと変貌していくでしょう。
心理的安全性の高まりがイノベーションにつながるという過去の研究結果を使えば、そのステップは次のように可視化することができます。
利他性は心理的安全性を高め、イノベーティブな組織づくりへ
不景気や不確実性の高い時代においては、心理的安全性の高い組織の醸成がこれまで以上に重要になります。チームが生き残り、成功するにはメンバーがお互いに信頼し合う文化を率先して率いるマネージャーが必要です。
創造性とは?
創造性によって動機づけられるとは人生のあらゆる領域において、創造的で斬新な環境や作業に引きつけられるということです。
創造性をトップモチベーターとする人の特徴
創造力が問われる仕事を好む
新たなアプローチや解決策を求める
新しい取り組みに積極的
1度に複数の視点を検討する
自分の意見をしっかり言う(自己表現)
創造性によって動機づけされる人は、新しいアイデアやテクノロジーをいち早く取り入れることによって前向きに仕事に取り組める傾向があります。
前述のエドモンドソン博士が心理的安全性という言葉を生み出したのは1999年のことですが、この概念が広まるまでには数年かかりました。それ以来、心理的安全性の概念は着実に浸透してきましたが、まだ心理的安全性を完全に理解してどのように実行し、どのように測定すればよいかを知っている人は多くはありません。
心理的安全性の概念に触れたほとんどの人は、それが組織にとって重要であることに気がつきます。しかし、心理的安全性を職場環境にていかに落とし込むかを考えていくには、未だに多くの企業に壁がある状態なのです。
その概念の目新しさを考えると、創造性に対するモチベーションのニーズが高いリーダーは低いリーダーよりも心理的安全性に興味を持つ傾向があることが分かります。つまり、新たなアプローチや解決策を取り入れたいという創造性が、心理的安全性を探求し、理解し、最終的にチームの心理的安全性を高めたいという欲求につながっているのです。
現在、心理的安全性の職場での導入は、主に研修や社員への意識付けによってなされていますが、今後は(Attunedのような)テクノロジーによって可視化されることが多くなることが予想されます。創造性へのモチベーションが高いマネージャーは、間違いなくAttunedのようなツールの利用を推進し、心理的安全性を備えたチームを作る確率は高まるでしょう。
結局のところ、創造的であるためには探求すること、失敗すること、オープンであること、そしてフィードバックに対して正直であることが必要であり、これらはすべて心理的安全性を生み出すのに役立つ行動なのです。
創造性のモチベーターは心理的安全性を生み出すか?
心理的安全性が高いと、より大きなイノベーションが生まれるというのは、これまでの心理的安全性の研究において認められています。しかし、私はイノベーションを生み出す組織づくりを行うためには、創造性をマネージャーのトップモチベーターとして持っていることが心理的安全性を生み出すための大いに手助けになると考えています。具体的には以下のようなステップです。
創造性は心理的安全性を高め、イノベーティブな組織づくりへ
Attunedのデータを見てみると、13人に1人がイノベーションをトップモチベーターとしており、12%のマネージャーが創造性を最もハイスコアのモチベーションとしています。しかし、チームにおける心理的安全性の創造に役立つ動機づけの構成要素としての影響力は、利他性よりも低くなるのです。
イノベーションが心理的安全性を生み出す重要な要素であり、「自己表現」と「複数の視点の検討」は、心理的安全性の高いチームを作るために必要です。創造性を発揮するためには、異なるアイデアや異なる視点を受け入れ、失敗する可能性に対しても受け入れるような姿勢が必要なのです。繰り返しますが、これは心理的安全性を備えたチームが持ち合わせている多くの項目に当てはまります。
私たちは、Attuned導入企業のチャンピオンやマネージャーの方々を通じて、このことを見てきました。そして、このような定性データはこの仮説が真実に近いものであることを示しています。
心理的安全性のアセスメントの開発によるデータ取得
現在、Attunedが開発している心理的安全性のアセスメントはこの春にまもなくリリースされます。心理的安全性に関するあらゆる考え方を取り入れたこのユニークで包括的なアセスメントは、チームの心理的安全性を「点数化」するのを助けるだけでなく、どこで必要な対処を行うべきかを知らせることができます。このアセスメントが始まると、世界中の何千ものチームの心理的安全性のデータを見ることができるようになります。
どのような必須モチベーターをもったマネージャーが率いるチームで、心理的安全性のスコアやレベルが高いかどうかが明らかに分析できるようになります。
因果関係を示すにはもっと難しく、時間がかかるでしょうが、マネージャーの動機づけと心理的安全性に相関関係を知ることは、非常に役立つ知見になるでしょう。
いかがでしたでしょうか?創造性と利他性のモチベーターが心理的安全性を生み出し、イノベーションを生み出す組織づくりに重要である可能性が見えてきたと思います。
Attunedでは、1on1やワークショップを通じて、企業の心理的安全性を評価し、改善するお手伝いをしています。すでに職場で心理的安全性に課題を感じている場合でも、健康的でモチベーションの高い環境を維持したい場合でも、ぜひこちらからご相談ください。
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