Covid-19前後のエンゲージメントはどう変化したか?
Attunedでは日本をはじめ世界に広がるユーザーのエンゲージメント値を蓄積していますが、日本と世界でどのようにコロナ前後で変化しているのか、モチベーターに性差はあるのかという、ふたつの観点で考察をまとめました。
エンゲージメントとは?
エンゲージメントとは従業員の企業に対する関与の度合いと仕事に対する感情的なつながり(ギャラップ社)です。働くことへのポジティブな気持ち、充実感とも言い換えることができます。
まず、エンゲージメントを理解するにはモチベーションについて理解する必要があります。
モチベーションとは人が何かをするときの動機づけや目的意識、やる気そのものをさしています。
このモチベーションを、従業員と組織の結びつきという関係に落とし込み、可視化された具体的な指標がエンゲージメントです。
Attunedが得たデータが示す日本と世界のエンゲージメントの推移の違い
eNPSなどを用いた一般的なエンゲージメントの計測では、独立した項目に対して社員が満足しているかどうかを計測します。これに対して、Attunedが計測するエンゲージメントは、従業員のモチベーションと組織の結びつきという関係性、言い換えれば社員のモチベーターに対する充足度を計測するものです。
そのため、一般的なエンゲージメント計測ツールが「職場の満足度」を表すのに対して、Attunedのエンゲージメントは社員のモチベーターの満足度を表現しているという違いがあります。
このグラフが示しているのは、世界では2020年から始まった新型コロナウイルスのパンデミックの影響から2020年を底として、V字型に推移しています。これは、個人のモチベーターへの満足度が一時的に底を打った後上昇するという推移を示しています。
日本では、2018年から2022年まで継続的に上昇を続けています。これは、個人のモチベーターへの満足度が一貫して上昇している、ということを示しています。
いったい、この差が生じた理由はどのようなものなのでしょうか?2つの観点から考察してみたいと思います。
失業率とテレワーク普及率の違い
まず、1つ目は失業率です。
こちらのグラフからもわかるように2020年の4月ごろから特にアメリカで失業者の数が大きく上昇していますが、日本では比較的横ばいで推移しています。
世界では、コロナウイルスの影響による不況に加え大辞職時代の到来に伴って、失業率が上昇しました。
一方、日本では金融政策及び財政政策により雇用を下支えする補助金などにより失業率が世界と比べて表面上の失業率は上昇しているわけではありません。
失業という現実を突きつけられた結果、世界では職場へのエンゲージメント値の平均が低下し、逆に結果的に雇用が保護された日本では値が向上する傾向があるという面があるかもしれません。
次に、2つ目は世界と日本でテレワークの導入率には大きな差があり、日本ではコロナ後に急激に導入が進みました。
この調査結果は新型コロナ流行直後の2020年7月のものであることを考えても、日本におけるテレワークの導入は遅い一方で急激に普及し、通勤から解放された人の割合は他国に比べかなり高いと考えられます。
モチベーションを満たす職場環境は、コロナ前後で比較して改善傾向にある、そのようなことが推測できるのではないでしょうか。
3 内発的動機づけの性別による違い
次に、Attunedのモチベーションアセスメントでは、11のモチベーターに対するニーズをさまざまな切り口で比較することができます。
今回は、日英の2言語と性差という観点で考察を試みました。
まず国ごとに見ていくと、上のグラフが示すように、英語ユーザーでは男性は競争性とファイナンス、女性は安全性とステータスについて、モチベータースコアが高くなっています。
下のグラフで示した日本語ユーザーでは、男性は競争性のスコアが高いところは英語ユーザーと同じですが、ファイナンスに関しては女性がわずかに男性を上回っています。また、安全性とステータスに関しても英語ユーザーほどは性別に差異がないことが読み取れます。
次に、男性性、女性性という観点でこれらのデータを見ていくと、日本・世界のいずれでも男性のニーズが強かった「競争性」については、自然状態における生存本能としての狩りを役割としてきた男性性を反映している結果と理解できるのではないでしょうか。
また、ファイナンスに関して日本の女性は男性を凌駕するニーズがあるのは、ジェンダーギャップが先進諸国に比べて大きい日本の雇用環境を反映してのことでしょうか。
安全性については、日本語ユーザー・英語ユーザーともに女性のニーズが強いようです。
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