「後悔」を前向きに捉える4つの方法 〜ダニエル・ピンクが最新刊で示した4つの後悔とその対処

みなさんは何か重要な場面でしくじった経験をして、「後悔」をしたことがありますか? 学習、仕事、家族との関係など、さまざまな失敗をした経験を思い出しているのではないでしょうか。では、いったいどうすれば失敗を将来につなげ、前向きに捉えることができるのでしょうか。

弊社EQIQ CEOであるケイシー・ウォールも出演したNudge stock2022において、作家のダニエル・ピンク氏(以下、敬称略)は後悔を4つに分類し、前向きに捉えるためのモチベーションを紹介しています。ここでは、ダニエル・ピンクが109カ国の人々の2万以上のデータから見出した新たな「後悔」の捉え方をまとめていきます。

ダニエル・ピンク

日本でも著名な行動科学の巨人で、ニューヨークタイムズのベストセラー5冊の著者。著書に、『モチベーション3.0』(講談社)や『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代―富を約束する「6つの感性」の磨き方』(三笠書房 )2022年には『The Power of Regret: How Looking Backward Moves Us Forward』(未邦訳)など



後悔とは?

後悔とは、もっと過去に良い選択をしたり、馬鹿な行動をしなければよかったと過去を見つめ、現在の状況がもっと好転していただろうと考えることです。後悔は誰しもが必ず抱いたことのある感情で、非常にネガティブなイメージを持っていることでしょう。しかし、後悔をし、過去を振り返ることで私たちを前進させてくれるとダニエル・ピンクは語ります。そして、自分が何に後悔をしているかがわかることで自分の大切にしているモチベーションがわかるのです。ダニエル・ピンクは後悔を4つに分類し、それぞれの後悔の対処法と重要なモチベーションを紹介していきます。

4つの後悔と対処法

1 継続的な過去の後悔(Foundation regrets)

これは過去の継続的な出来事に対しての後悔であり、人生が進むにつれて蓄積されていく後悔です。例えば、

「働き始めた頃からお金を貯めていれば」

「若い頃勉強していい大学に入っていれば」といった後悔があります。

対処法

このように後悔をする人は安全性「筆者注)Attunedでいう安全性と同等の価値観をさすものと思われる。」を重要なモチベーションとしている人が多いとダニエル・ピンクは語ります。将来への不安や老後の生活など安定的な生活を求める傾向にあります。また、計画を立てることや、先が見通せる状況を好みます。詳細に定義されたルール、明確なフレームワークや責任範囲を必要とし、秩序のある組織体制を重視します。また、明確な責任範囲と目標、決められたルールのある状況で働く事にやりがいを感じるのです。そのような職場環境に身を置き、キャリアを築くことが後悔しないために大切なのです。

2 機会を逃した後悔(Boldness regrets)

1 継続的な過去の後悔が、「線」で起きたことに対する後悔に対して、こちらは「点」で起こった出来事の後悔だといえます。

 例えば、

「大学で会った美しい女性に惚れてしまったが、2度と会えなかった。」
「仕事では大胆さが足りず、失敗を恐れて挑戦できなかった。」
「自分自身を信頼して、起業する勇気が出なかった。」

のようなものが挙げられます。

ダニエル・ピンクのリサーチによると、行動しないことに人々は後悔を抱きます。また、若い人たちは挑戦したことと挑戦しなかったことに対しての後悔は同じくらいである一方、歳を取るごとに行動しなかった後悔の割合が高まっていくのです。

対処法

このような後悔をする人は成長「筆者注)Attunedでいう成長と同等の価値観をさすものと思われる。」を重要なモチベーションとしている人が多いとダニエル・ピンクは語ります。新たなスキルや能力を獲得し、人生のあらゆる局面において知識を増やしたいという意欲があります。 プライベートや仕事関係なく、成長できる環境に身を置くことが大切です。仕事では自己成長の機会がないと感じる業務に対して、モチベーションを維持しにくくなる可能性があります。そこで、自分の知識レベルを上回るような、より複雑な状況や業務などに挑戦することがやりがいにつながります。

3 道徳的な後悔(Moral regrets)

これは道徳的に正しいことをしていればと後悔することです。例えば、

「幼少期に友達をいじめてしまったこと。」
「上司に対してモラルがない発言をしてしまったこと」などが挙げられます。

対処法

このような後悔をする人はを大切にしており、徳を積むことで後悔を軽減することができます。また、仕事においてミスをしてしまった時に正直に申し出ることや透明性のある経営を行うことを心がけることも大切です。仕事を会社や利益のためにするだけでなく、社会に貢献していると実感できることがやりがいにつながります。

4 関係性の後悔(Connection regrets)

過去に友人、家族、同僚などに対して抱いた後悔がこれに当たります。例えば、

「ガンと戦っている親友に会えなくて、家に電話した頃には亡くなってしまったこと。」
「両親に親孝行ができておらず、距離が遠のいてしまったこと。」

などが挙げられます。

対処法

このような後悔をする人は利他性(筆者注)Attunedでいう利他性と同等の価値観をさすものと思われる。)を重要なモチベーションとしている人が多いと考えられます。進んで手助けやサポートをし、他人の幸せのために努力することができることをモチベーションとします。新たな業務などに取り組むとき「人や組織のためになる」側面を見つけることで、その業務などに対するモチベーションを大きく上げることができるのです。

ダニエル・ピンクの新著The Power of Regretで示すもの

The Power of Regret: How Looking Backward Moves Us Forward (English Edition)の超要約

「私たちは悔いなく生きたいと願い、時には悔いはないと誇らしげに主張するが、それは私たちが死を免れない存在である以上、実際には不可能なことなのだ。」(ジェームズ・ボールドウィン、1967) 

この言葉から始まるダニエル・ピンクの『The Power of Regret: How Looking Backward Moves Us Forward』 (English Edition)では、後悔を人間であることの不可欠な要素とし、健全で普遍的なものだとしています。後悔は将来につながる良いものだとし、後悔は貴重なものであり、正しい方法で行えば、私たちを引きずり下ろすものではなく、引き上げてくれるものだといいます。この後悔から逃れないことは感情から逃れないということを意味し、この感情が思考を助けるとしています。

さらに、ダニエル・ピンクは人の生活が様々なドメインに及んでいるように後悔にもいろいろな種類の後悔があるとしています。ダニエル・ピンクはこちらでも前述のように後悔を4つに分類し、そこから個人一人ひとりが大切にしているモチベーションを明らかにできるとしています。

後悔から自身のモチベーションの源泉を知り、人生を豊かにする。

ここまでダニエル・ピンクの講演と本から4つの後悔を紹介し、どれに当てはまるのかで自分のモチベーションが整理されてきたのではないでしょうか。 Attunedでは、心理学者とデータサイエンティストのチームが、仕事に関係する内発的動機づけを洗い出し、クラスター化と検証を経て 11 個に絞り込み、それらの11の内発的動機のことを、動機づけるモノ・コトという意味で「モチベーター」と呼んでいます。

さらに、55の質問からなるモチベーションアセスメントを受けていただくことで、個人にとってどのモチベーターが最も重要なのか、どのような仕事で最高のパフォーマンスを発揮するのか、どのような環境で最も活躍する可能性が高いのかを示すモチベーター レポートを提供しています。
自身のやりがいや内発的動機を可視化したい人はこちらからAttunedの無料トライアルを試してみてください!

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