性別で仕事へのモチベーションに差はあるのか?
男性と女性で仕事へのモチベーションは違うのでしょうか?
この質問に対して、これまでは明確な答えを出すことは難しく、このモチベーションの性別による違いに関するほとんどは、科学的分析や確たるデータではなく、個人の経験、文化的規範や仮定によって形成されています。
しかし、Attunedが先日発表した「The State of Motivation Report 2023」は、内発的動機づけに関するデータに基づく新たな洞察を提供しています。そこには、世界中の人々の職場における男女のモチベーション・ニーズの違いと共通点が含まれています。
Attunedが分類する11のモチベーター(内発的動機づけ)と性別での違い
「The State of Motivation Report 2023」は、2018年から2022年にかけて世界中のAttunedユーザーが受けた数万件のモチベーターアセスメントから作成されています。
また、この結果は、コロナウィルスのパンデミックの前後で人々のモチベーションのニーズがどのように変化してきたかも示しています。
ここでは、Attunedの測定する11のモチベーター(内発的動機づけ)を紹介します:
・利他性:進んで他者の手助けやサポートをし、お互いに助け合うことのできる環境を好む
・自律性: 個人の自由を求め、意思決定、時間の管理、問題解決を自律的に進める
・競争性: 外的・内的な報酬や目標に向かって、他者と競争しようと努力すること
・フィードバック: 肯定的と否定的な評価の両方のフィードバックを求め、成長をできる
・ファイナンス: 経済的な安定を得るために働く
・創造性: クリエィティブで、型破りなソリューションの機会を求める
・成長:自己啓発と成長のために継続的なスキルアップに努める
・合理性: 論理性・客観性・データを重視した意思決定を好む
・安全性: ルールや枠組みを中心とした計画性と予測可能性を優先し、安定を求める
・社交性: グループでの頻繁な交流と質の高い人間関係を目指す
・ステータス: 地位、評判、社会的地位の継続的な上昇を望む
このレポートの背景となるデータを比較すると、まず目につくのは、男性と女性の回答が似ているということです。「安全性」「利他性」「競争性」の3つを除くすべての価値観が男女ともにまったく同じ順位に位置しています。
いくつかの内発的動機のスコア(各回答者がその動機を相対的に重視する度合いを0~100%の割合で表したもの)には大きな違いがありますが、全体的な価値観は男女ともに驚くほど似通った結果になっています。例えば、「合理性」は男女ともに最下位で、「自律性」、「創造性」、「 成長」「社交性」「フィードバック」がその上に続いています。また、「ステータス」が4位で「ファイナンス」が2位という同じ位置を占めています。
順位が異なるのは、競争性(男性1位、女性5位)、安全性(女性1位、男性3位)、利他性(女性3位、男性5位)の3つの動機づけだけでした。そして、この中で「競争性」だけが4.6%以上のポイントの差をつけています。
男女間でモチベーションに大きな差がない理由
Attunedの創設者兼CEOであるケイシー・ウォールは「女性は金星から、男性は火星から来たわけではありませんが、私たちを動かす根本的な価値観や内発的動機は似ている」と述べています。
「例えば、男性は何世紀にもわたって、自分は女性よりも合理的であるという考えを社会階層に根付かせようとしてきました。しかし今、私たちは、男性の内発的動機としての合理性は女性同様、最下位であることを示すデータを手に入れました。確かに合理性の平均点は少し高いのですが、比べてみると、男性は女性と同じように合理性をそれほど重視していないのです。」
さらにケイシー・ウォールは男女間の動機づけのニーズの違いさえも、人が育ってきた社会や文化の違いに過ぎないかもしれないと指摘しています。
「内発的動機づけは私たちにとって重要であり、動機づけの原動力となる価値観から形成されてきます。しかし、価値観は学習されるものであり、周囲の人々やコミュニティから自然に受け継がれていくものです。男女の仕事へのモチベーションの違いは、社会的な期待や規範に起因している可能性が高いのです。私たちは何度も何度もそれらにさらされ、それが自分の動機になるまで内面化しなければならないというプレッシャーを感じていることがあるのです。」
Attunedの姉妹会社で人材紹介会社であるWahl+CaseのPeople Operations DirectorであるKristine AyuzawaはAttunedのデータに啓発されたが、驚くべきことではないと言います。
「Attunedが得たデータから男性と女性は私たちが思っているよりも内発的動機づけに関しては似ていると言っていいでしょう。ファイナンス、安全性、ステータスといったモチベーターは、男女ともに上位4位以内に位置しています。これは、仕事の多くの側面が充実していても、最終的には人は生計を立てる必要があるということを反映しています。」
また、内発的動機づけを測定する場合、その時の職場状況が影響すると彼女は言います。「これらのモチベーションは人生のさまざまな場面で現れるかもしれませんが、Attunedは特に職場環境について調べています。経済的な安定、職場で尊敬されること、昇進の機会を得ることなどが、誰にとっても重要であることは、当然なのです。」
仕事へのモチベーションは一人ひとり異なる
ここまで紹介したAttunedのデータは、内発的動機づけをマクロな視点から捉えたものですが、ケイシー・ウォールによると、人を動かす価値観や嗜好は最終的には各個人に固有のものであると指摘しています。
実際、Attunedのプラットフォームでは、11種類のモチベーションを0~100%の範囲で設定できるため、7.5兆通り以上の組み合わせが可能です。これは、地球の人口の100万倍弱、あるいは、これまで生きてきた人の数の6万8000倍以上に相当するそうです。
「結局、これらは平均値であり、社会全体では、男性と女性の動機は異なるよりも似ているのです」と彼は言います。「しかし、個人レベルになると、平均値から大きく離れるため、人々は大きく異なることになります。この個人のモチベーションの独自性こそが、チームの能力を最大限に引き出すために、マネージャーが深く意識する必要があるのです。」
この記事はGlobis Insights(英語)に掲載されたものを日本語に翻訳し、一部修正したものです。
また、Attunedでは、10分から15分ほどのアセスメントを通じて、社員のモチベーションを可視化し、コミュニケーションを改善するお手伝いをしています。すでに職場で課題を感じている場合でも、健康的でモチベーションの高い環境を維持したい場合でも、ぜひ私たちにこちらからご相談ください。
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