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絵文字がリモート下でのコミュニケーションの鍵になる?

10年前、仕事のチャットで絵文字を使用することに関して私に尋ねたら「絵文字は全く存在しない」と自信を持って答えたでしょう。


絵文字は単なる一時期の流行りで若い世代の遊び道具としか思っていなかったし、実際使っていませんでした。


しかし、それは間違いだったのです。

まず、絵文字の概念は決して新しいものではなく、1980年代から90年代にかけて登場した:-)などの顔文字に馴染みがある人もいるでしょう。その前の1969年にはすでに作家のウラジーミル・ナボコフが「笑顔を表す特別な活版印刷の記号が存在するはずだ-ある種の凹んだマーク、うつむいた丸いブラケット」と提案しています。その他にも、多くの文化圏で、絵文字は数千年にわたる歴史を持っています。

このブログではリモートワークやチャットでのコミュニケーションツールの使用が当たり前になった現代において、絵文字が非常に貴重なコミュニケーションツールである理由を説明しましょう。

リモートワークでは、文字のコミュニケーションがより大切に

リーダーがチームに影響を与える瞬間は、大胆なビジョンの提示や革新的な戦略の構築といった数年に一回あるかないかのものだけではありません。

確かにそれも重要ですが、それよりも、チームメンバーと日々交わす何百もの小さなやりとりの方がはるかに重要であり、その一つひとつがチームメンバーとの関係性に影響を与えます。

オフィスでは、コーヒーメーカーでのおしゃべり、廊下での出会い、デスクでの会話、ランチでの会話など、こうした小さな会話の瞬間がたくさんあります。

しかし、オフィスにいる時間が短くなればなるほど、このような機会は失われていきます。リモートの場合、チームメンバーとの交流は基本的に2種類に分けられます。一つ目はZoomなどを使用したビデオ会議。二つ目はSlackやTeamsを使用したメッセージ、Eメール、文書へのコメントなど、あらゆる種類の文字によるコミュニケーションです。

つまり、この二つの方法を通じてリモート環境でのリーダーは、良くも悪くもチームに影響を与えます。そして、この2つのうち、文字によるコミュニケーションは、はるかに頻繁に行われる傾向があります。パンデミック以前の統計でも、オフィスワーカーは1日に少なくとも50~100回、チームメンバーに何らかの文書メッセージを送っていたとされています。そして、その数はリモートワークの増加に伴い、さらに増えていることは間違いないでしょう。

そのため、文字によるコミュニケーションがこれまで以上に重要視されてきているのです。

文字媒体の長所と短所


プロフェッショナルなコミュニケーションのための方法として、文字には明確な利点があります。例えば、資料へのリンクやグラフを追加して、論点をより分かりやすく説明することができます。さらに、会話は自動的に記録され、後で参照することができるため、何を話したかを簡単に思い出すことができます。


しかし、最も重要なのは、非同期処理であるため、相手からの返答について考える時間があるということです。この利点は、私が文章を書くのが好きな最大の理由でもあるのですが、思いついたことをそのまま口にするのではなく、自分のメッセージをじっくりと考える時間があるのです。


しかし、この文字には弱点があることを認めざるを得ません。その中でも大きいものが、表情やジェスチャー、イントネーションのような非言語的な情報が欠けていることです。これらは、コミュニケーションにおいて、特に相手の意図や感情の浮き沈みを掴むために有効です。その結果、文字によるメッセージは誤解されやすく、対立を引き起こし、信頼を失い、チーム内のコラボレーションを阻害する可能性もあるのです。


心理学者で作家のダニエル・ゴールマンは、この現象を電子メールで研究しました。彼は、あなたがメールを1通書くごとに、受信者はあなたが意図したよりも1段階敵対的に解釈する傾向があることを発見しました。つまり、あなたがポジティブなメッセージを送ると、相手はそのトーンを中立的なものとして読んでしまうのです。また、あなたが中立的なメッセージを送ると、それが否定的なものに見えてしまうのです。


もちろん、相手があなたに返信するときも同じ仕組みなので、お互いに悪気がなくても、会話は簡単に悪い方向へにエスカレートしてしまうこともあるのです。


では、このような誤解を避けるために、どのように文章を工夫すればよいのでしょうか。もし、文章で自分の意図や感情のトーンを明確にする簡単な方法の一つに絵文字があります。例えば、顔の表情を表す記号をメッセージに加ええれば、誤解を招く可能性は低くなるのです。

絵文字: 21世紀のリモートリーダーには最適なコミュニケーションツール


リーダーの文書によるコミュニケーションが、チームの信頼、つながり、心理的安全性を高めるために当たり前に大切な中で、絵文字は間違いなく最も影響力のあるものの1つです。

絵文字は文字の弱点であった表情やイントネーション、ジェスチャーを排除することで失われる感情の変化を補い、わずか数個の記号で望む感情のトーンを伝えることができます。その効果は驚くほど強力で、『Behaviour and Information Technology』誌の最近の論文では、「リモートによるコミュニケーションで絵文字を使用すると、対面コミュニケーションで観察されるものと同様の神経反応が生じる」ことが分かっています。


では、具体的な例を見てみましょう。あなたが下のような3つのタイプのメッセージを受け取ったとします。

このメッセージは少しぶっきらぼうで、送信者が何かイライラしていたり、不愉快に思っているように見えるかもしれませんね?

そこで、最も汎用性の高い絵文字の1つである「汗笑い😅」を加えてみましょう。

ご覧のように、感情のトーンはより明るく、遊び心のあるものになり、「私たちは一緒に取り組んでいるんだ」と示すことができます。前のメッセージと比べると、この絵文字は受け手側にポジティブな印象を残し、良い返事が返ってくる可能性がはるかに高いです。さらに、リーダーシップを発揮する上で重要な要素である、相手を尊重し、関係を大切に思っていることを相手に伝えることができるのです。

もちろん、これまで仕事で絵文字を使ったことがない人は、どうやって始めればいいのかわからないかもしれません。不安な気持ちもあるでしょう。間違えたらどうしよう?ランチの茄子が美味しかったと伝えたいのに、会話が思いのほか変な方向にいってしまったら?

一般的には、😊😅&🥳など、シンプルで無難な笑顔で始めるのがベストです。誤解を避けるために皮肉は避けましょう。

絵文字を使い始めると、自分も絵文字を受け取ることが多くなり、流行りの絵文字のスタイルを身につけることができるようになります。また、わからない絵文字を使われたら、ネットで調べたり、意味を聞いたりするのもよいでしょう。

一般的に、どの会社やチームにも独自の絵文字文化があり、常に進化しているからです。

最後に、絵文字を挿入するためのキーボードショートカットを調べておくとよいでしょう。そうすることで、絵文字を使うのがより早く、より簡単になり、実際に使う可能性も高くなります。

まとめ

この記事の冒頭で述べたように、私は以前、専門的な文章で絵文字を使うことに関して懐疑的でした。その頃、絵文字が感情を伝えるのにどれだけ役に立つかを教えてくれる人がいたとしても、私はおそらくこう言ったでしょう 「なぜ、こんな絵文字を考えることに時間を割く必要があるのか?私の書き方は私の書き方だし、みんな私が不愉快に思っているわけではないことを知っている。きっと、ここにいるみんなはプロフェッショナルだから、絵文字を使わなくても私のメッセージが少々ぶっきらぼうでも理解してくれるはずだ 」と。

もちろん、チームメンバーの中には絵文字による効果を全く気にしない人もいるでしょう。

しかし、考えてみてください。チームメンバーがリーダーから素っ気ないメッセージを受け取るたびに、なぜそれが不安や軽蔑を感じさせたのかを考える必要があるのです。そして、毎週何百通ものメッセージを送るのですから、こうした小さなモヤモヤが次第にエネルギーを消耗し、チーム内に軋轢を生むことになります。それは本当にあなたが望む影響なのでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。あなたが望むのは、人々が尊重されていると感じ、仕事に集中できる、心理的安全性の高い雰囲気です。高い目標を持ち、リスクを取っても、チームメンバーがバックアップしてくれるという環境はとても大切です。また、社員がお互いに挑戦しやすい雰囲気があり、その結果、必ず心のこもったフィードバックが返ってくることも重要なのです。

このような雰囲気は、毎日毎日、ぶっきらぼうなメッセージをチームに投げかけていては、決して作れません。絵文字でメッセージを明確にすることで、信頼と強固なチームスピリットを築くことができるのです。

絵文字は、文字媒体が苦手とする人の感情を表現し、ギャップを埋めてくれる貴重なツールなのです。リモートワークの時代には、文字を書くことがこれまで以上に重要です。だからこそ、私はリモートワークにおいて文章に絵文字を取り入れることをお勧めします。

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Ben Hughes

Hybrid/Remote Leadership Speaker & Trainer