【5分でわかる】従業員エンゲージメントとは?その重要性、向上方法。

 

最近ビジネス書やメディアで「従業員エンゲージメント」という文字を多く目にします。その名の通り、従業員とエンゲージメントという言葉を組み合わせることによって企業と従業員のつながりを意味します。

本記事では、従業員エンゲージメントの定義、重要性、向上方法について、学術論文や従業員エンゲージメントに関する著名な書籍等を参考にご紹介します。

*2024年8月15日最終更新

 
 
 
 

エンゲージメントとは?

エンゲージメント(Engagement)とは一般的に「参加」、「契約」、「婚約」と訳され、人々が活動にどれだけ興味を持って関わるかを示す概念です。最近ではビジネスの領域で使われるようになりました。そこで本記事では組織の成功に重要である従業員エンゲージメントについて深く掘り下げます。従業員エンゲージメントはワークエンゲージメントやモチベーションとはニュアンスが違うので、注意しましょう。

従業員エンゲージメントとは?

1.従業員エンゲージメントの定義

従業員エンゲージメント(Employee Engagement)とは何かを理解するには、「会社への愛着」や「会社へ貢献しようとする意欲」といった、組織と個人が「エンゲージする」(参加する、引き込む、婚約する)といった「ポジティブなつながり」のイメージをもつとよいでしょう。「従業員エンゲージメントが高い」状態とは、「会社のためになるような働きがしたい」、「このプロジェクトを成功させられるよう頑張りたい」、というように積極的・主体的に仕事に取り組めている状態といえます。


今回参照した論文では、研究者間でも明らかな定義があるわけではないということが指摘されていました (Markos & Sridevi, 2010)。複数の研究主体による表現を引用すると以下のようになります。

・社員の企業に対する関与の度合いと仕事に対する感情的なつながり(ギャラップ社)

・社員が組織とその目標に対して抱いている感情的なコミットメント(ウイリス・タワーズワトソン社)

・仕事に関連するポジティブで充実した精神状態(ユレヒトワークエンゲージメントスケール)

・職場環境、給与、福利厚生などに対する社員の満足度も含まれるが、それ以上の包括的な感情(エフェクトリーインターナショナル)


参考:ロッシェル・カップ著『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(2015年・クロスメディア・パブリッシング)より



従業員エンゲージメントという言葉の意味を大まかにつかめていただけたでしょうか?先ほどお伝えしたように研究者の間でも明確な定義は決まっているわけではないので、大体の理解で大丈夫です。Attunedでは個人にとってのモチベーションの充足度を従業員エンゲージメントと定義しています。つまり、やりがいを持って働けていると従業員エンゲージメントは高い状態にあるといえます。

 

 

2. 従業員エンゲージメントと混同されがちな言葉

次に、従業員エンゲージメントと混同されがちな概念についても確認しましょう。

それは「モチベーション」です。しかし、「従業員エンゲージメント」と「モチベーション」は意味するところが違います。

ロッシェル・カップ著『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』(2015年・クロスメディア・パブリッシング)を参考にこの二つを比較しましょう。

モチベーションとは、動機づけや目的意識、やる気そのものをさしています。しかし、それぞれの従業員のモチベーションの有無の把握は簡単ではありません。そのようなモチベーションの強さを測るための鍵となるのが従業員エンゲージメントです。

モチベーションを「従業員と組織の結びつき」という関係に落とし込み可視化した具体的な指標が従業員エンゲージメントと言えます(詳しくはこちら)。

他にも、従業員満足度という概念とも混同されがちですが、従業員エンゲージメントは会社への「愛着」や「自発的に貢献したい気持ち」を表す点で満足度とは異なります。従業員満足度に比べて従業員エンゲージメントの方が企業実績に直結している指標といえるでしょう。

 

3. ワークエンゲージメントとの違いは?

従業員エンゲージメントの他にもワークエンゲージメントという学術的に定義されている言葉があります。ワークエンゲージメントは仕事に対する意欲を表す「活力、熱意、没頭」の3つの要素が満たされる心理状況を指します。一方で従業員エンゲージメントは従業員と組織との関係から生まれる貢献意識のことを指すため、より包括的だと言えるでしょう。

この二つの用語を見ると直感的には同じ意味だと認識してしまうかもしれません。細かい違いですが、従業員エンゲージメントとワークエンゲージメントを互換的に使用しないように気をつけましょう。

エンゲージメント向上のメリットとは?

次に、なぜ従業員エンゲージメント向上が重要なのかについて、従業員エンゲージメントがもつメリットを中心にご説明します。

まず、従業員の視点で見てみましょう。Schaufeli(2013)によると従業員エンゲージメントは従業員のウェルビーイングと関係があると考えられています。これは、従業員エンゲージメントが会社への愛着心を表しているという先ほどの説明からも想像できると思います。従業員エンゲージメントを高めることで従業員は幸福度の高い状態で仕事に取り組めるでしょう。

また、従業員エンゲージメントの向上によって会社としても大きな利益が得られると考えられます。 Markos & Sridevi (2010)によると、従業員エンゲージメントは従業員の離職率の低下や退職意向の減少、生産性、収益、成長性、顧客満足度と密接に関わっています。さらに、社員紹介(リファラル)採用の強化にもつながるため、人材確保にも良い効果があるでしょう。

このように従業員エンゲージメントは、従業員個人にとってのメリットとも、組織全体のメリットとも強い繋がりを持っており、双方にとって重要だといえます。

 
 
 

人的資本経営で注目される従業員エンゲージメント

今まで人材を育成することをコストとして考えてきましたが、最近では投資という考えに変わってきています。この人への投資でエンゲージメントを強化することを人的資本経営と呼び、注目度を上げています。実際に従業員エンゲージメントが高いほど企業価値向上に繋がると内閣官房が発表しました。指数においても日本はROE(自己資本利益率)やPER(株価収益率)が低迷し、PBR(株価純資産倍率)が一倍を下回る企業が多いため、人的資本経営にもっと焦点を当てた方が良いと考えられます。

 

従業員エンゲージメントの測定方法は?

従業員のエンゲージメントが高いか低いかはどのようにしたらわかるでしょうか。

例えば、離職率の分析がその方法の一つとして挙げられます。従業員が離職する率が高い場合、従業員エンゲージメントが低い可能性があります。このため、離職率を分析することで、従業員の意欲ややる気を測定することができます。また、生産性の測定も一つの手です。生産性が高い場合、従業員エンゲージメントが高い可能性があるといえるでしょう。

そしてAttunedでは、モチベーションの充足度の測定による従業員エンゲージメントの可視化が可能です。さらに過去からどのように従業員エンゲージメントが変化したかという推移もモニタリングできます。

Attunedのモチベーションアセスメントを使えば、従業員エンゲージメントについて深く理解できます。エンゲージメントサーベイでは個々が重要だと感じるモチベーターに関する質問を受け取り、その回答によってAIがエンゲージメントレベルを測定します。ダッシュボードではモチベーター評価のグラフ同様に、実施されたエンゲージメントサーベイごとにクリックすることができ、エンゲージメント率を確認することができます。

エンゲージメントレベルを示したAttunedのダッシュボード画面

上記の画像はAttunedを用いたエンゲージメント指標の一例です。

ここでAttunedと他のエンゲージメントパッケージやアセスメントとの違いを見てみましょう。

 
 

ここからわかる重要なこととして、Attunedがエンゲージメントをモチベーターの充足度として測定していること、現場重視であること、能力計測のように優劣をつけないことが挙げられます。

Attunedは、初めてエンゲージメント向上のための施策を行う方も、すでに何らかの対策を行なっている方にも有益となるはずです!

従業員エンゲージメントを高める4つの対策

そのような従業員エンゲージメントを向上させるにはどうすれば良いのでしょうか?

ここでは従業員エンゲージメントを高める方法をご紹介します。

1.マネージャーと部下の双方向のコミュニケーション

従業員に期待していることを、明確にかつ一貫して伝えることが、従業員のエンゲージメント向上に繋がります。一方、従業員を巻き込み、常に彼らの意見に耳を傾けることも重要です。チームとしての意思決定を従業員と共に行うことで、従業員は帰属意識を持ち、従業員エンゲージメントが高まります (Markos & Sridevi, 2010)。

2.自律性を与える

期待通りの結果を出す限り、従業員が自分の仕事において最善策を自由に選択できるように、自律性を与えることも重要です。結果を出すためのプロセスをすべて管理するのではなく、結果を通して管理しましょう。ただし、仕事に必要なリソースやトレーニングの機会を与えることでマネージャーがサポートしてあげる必要があります(Markos & Sridevi, 2010)。

3.従業員一人一人に合わせて環境を変化させる

従業員エンゲージメント向上のために重要なこととして、社員のやる気・「内発的動機(=モチベーター)の充足度」の向上があります。ただし個々人のモチベーターは異なっているという点には注意する必要です。たとえ自分のモチベーションを上げ方を知っていても、それが相手のモチベーションの向上に役に立つとは限りません。

例えば「チャレンジングな仕事」を重視する社員にとっては、「プロジェクト管理の強化」によってモチベーションが上がることは少ないと考えられます。一方、「新規の業務を任せる」、「新規事業チームに参加させる」というようにチャレンジングな業務を任せるほうがやりがいを持って業務に取り組むことができ、従業員エンゲージメントは高くなると考えられます。


従業員エンゲージメントを高めるための課題は個人ごとに異なるため、一人ひとりに合ったアイデアを提供することで、やりがいを感じながら働ける社員を増やし、従業員エンゲージメントの向上につながります。また、心理的安全性が高い環境の方がエンゲージメント向上に繋がりやすいと考えてよいでしょう。

4.適切な1on1ミーティングの実施

リモートワークや、自律的な働き方が推奨されるようになっている中で、信頼関係をつくっていくための1on1ミーティングは欠かせません。

1on1は、上司と部下との意識のギャップを知り、従業員の成長を促し、従業員エンゲージメントを高めるためにはもってこいの時間です。

一方で、「1on1で何を話したら良いのかわからない」、「仕事以外の話をするように人事から言われたため、雑談の時間と化している。忙しいのにたまらない」などといった声も聞かれます。

適切な1on1とはどのようなものでしょうか?信頼関係をつくるには、相手の話したいことを引き出すということが効果的です。Attunedを使った1on1では、「やる気・内発的動機(=モチベーター)に触れながら質問を繰り出し、話してもらう」という方法を取ります。自分の興味があることについて話題を振ってくれて、さらに褒められるようなことがあればやる気が湧きますよね。

つまり、言われたらモチベーションが上がることを上司に言ってもらえるので、部下のモチベーションや従業員エンゲージメントを高めることができたという実例が多く生まれています。

 

エンゲージメント向上に成功した事例

ここではAttunedを効果的に取り入れたことで授業員エンゲージメントの向上に成功した株式会社日立システムズの事例を簡単に紹介します。

同社のビジネスクラウドサービス事業グループではコミュニケーション改革や組織エンゲージメント向上などをテーマにAttunedを活用していただきました。

内発的動機を理解することで上司と部下の関係性が良くなる上、職場内全体の対話がより充実したものになったそうです。ビジネスクラウドサービス事業グループ主管技師長の渡辺様は「まずマネージャーが自己開示をすることで、心理的安全性が高まって率直なコメントが聞けるようになったのでは」と話しています。実際にAttunedのモチベーションアセスメントやパルスサーベイを活用した結果、エンゲージメントが20%から70%、離職予測が70%から20%になる成果が報告されました。

おわりに

この記事ではビジネスにおけるエンゲージメントの意味と社員のエンゲージメントを高める必要性を説明したうえ、具体的な向上施策を紹介しました。一つの施策としてエンゲージメントサーベイを取り入れることもお勧めします。エンゲージメントレベルが低い場合は、重要度の高いモチベーターが満たされていないと判断し、マネージャーはモチベーターを満たすためのTipsを見て、対策として必要なアクションがわかるようになっています。 

実際に従業員エンゲージメントが高い企業に挙げられるスターバックスやサントリーなどは上記で紹介した方法を実践しています。エンゲージメントを高めることで社内の健全な関係構築に繋がり、お互いの成長を高めあえる好循環が生まれるでしょう。


いかがでしたか?このほかにも従業員エンゲージメントを向上させる方法についてまとめた記事がこちらにあるので、興味のある方はぜひご覧ください。