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【「個の時代」のHR経営 第1回】 組織レジリエンスとは?VUCA時代を生き抜くポイント

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皆さま、こんにちは。このシリーズでは、定期的に戦略人事に求められる視点をお届けいたします。担当は、Attuned日本事業部長の飯田蔵土です。現職に至るまで、過去にアクセンチュアなどのコンサルティングファームでの経験を積みながら、金融工学や人的資本経営の分野で幅広い知識を培ってまいりました。

第1回では、「組織レジリエンス」に焦点を当ててみたいと思います。この用語は、「厳しい状況や変化に対応し、成長する力」という意味を秘めています。これまで個人の特性と結びつけて語られることが多かったですが、最近ではパンデミックの影響により、組織にも「レジリエンス」の価値が問われるようになりました。今回は、個々の視点から組織レジリエンスについて考え、その具体的な実現方法について探ってみましょう。


パンデミックを乗り越えるカギ「組織レジリエンス」

まず、組織レジリエンスとは何でしょうか?パンデミックを通じて、多くの企業や組織、そして個人が大きな変化に対峙しなければならない局面がありました。この時、従来のやり方や状況からの脱却が要求されたことは明白です。しかしこの変化に対する対応が容易ではなかったケースもあり、その結果、一部の組織は苦境に立たされたり、大きな挫折を経験することとなりました。

一方で、この変化を乗り越えて成長の機会と受け止めた組織も存在します。それでは、この違いは一体どこから生まれたのでしょうか?実際、数々の調査から、組織レジリエンスが企業の生存と成功に著しい影響を及ぼしたことが示されています。組織が危機や困難な状況に立ち向かい、成長する力が、その未来を大きく左右するのです。


組織レジリエンスが高い企業と低い企業との差

組織レジリエンスの効果はどのようなものでしょうか?経済的な危機や人員削減といった厳しい状況下で、レジリエンスの高い組織は市場の変動に適応し、競争力を保つことができました。また、リモートワークの普及や商習慣の変化に立ち向かう際にも、レジリエンスの高い組織は柔軟な対応力を発揮し、新たな市場の機会を見つけ出すことができたのです。

一方で、レジリエンスの低い組織は変化に対処できなかったケースもありました。確かに、多くの組織は危機を察知したことでしょう。しかしその中には、「これまでの方法を一層熟練させれば大丈夫」「確固たる成功以外の選択肢は受け入れがたい」といった思考パターンに固執してしまう組織もありました。こうした組織は、危機を克服することができなかったのです。

組織のレジリエンスの差は、新たな変化にどのように立ち向かうかという対応方法に顕れます。レジリエンスの高い組織は、新しいアイデアや手法を模索し、柔軟に実行する能力を備えています。対照的に、レジリエンスの低い組織は、新たなアプローチを受け入れることをためらい、「成功の保証がないから実行しない」という姿勢を取ることがあります。

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組織レジリエンス高めるために、リーダーは何をすべきか?

レジリエンスを高めるためには、どのようなリーダーが求められるのでしょうか?今の社会は「VUCA(不確実・複雑・曖昧・変化)の時代」と称されています。特にパンデミックの影響により、未知の状況に対する不確実性が一層浮き彫りとなりました。このような時代に、「成功の可能性が高いから行動する」という古い考え方は通用しません。むしろ、「成功するか分からないが、とりあえず試してみよう」という柔軟な思考が求められるのです。

保証された成功などほとんどないと言っても過言ではありません。しかし、失敗するかもしれないことでも、致命的なリスクがない限り、チャレンジする価値があります。失敗から学び、次に活かすことで成功に繋がる可能性があるのです。このプロセスこそが、組織のレジリエンスの核心であり、新しいリーダーがやるべきことと言えるでしょう。

有名な発明家であるエジソンは、「まだ失敗していない。うまくいかない方法を10,000個見つけたところだ」と語ったことがあります。この言葉こそが、組織レジリエンスに求められる姿勢を象徴しているのではないでしょうか。


組織レジリエンスと心理的安全性との関連性

また、心理的安全性も組織レジリエンスと密接に関連しています。失敗した際に、周囲の反応が「ほら、やっぱり無理だった」「やる価値なし」というものであれば、その組織はレジリエンスが低いと言えるでしょう。失敗をネガティブなものと捉えることで、新しいアイデアや試みに対する意欲が損なわれてしまうからです。それに対して、成功への過程として失敗を受け入れ、そこから学びを得る態度を持つ組織は、変化に向き合う柔軟性を保持しています。

こうした組織では、心理的安全性が大きな役割を果たします。心理的安全性とは、メンバーが自身の意見やアイデアを堂々と述べ、失敗しても恐れることなく試行錯誤できる環境を指します。ただし、心理的安全性だけでは、すぐに組織レジリエンスが向上するわけではありません。心理的安全性を土台に、さらに構造的なアプローチを導入する必要があるのです。


組織レジリエンスを高めるための3つの方法

組織のレジリエンスを高めるための方法はいくつか存在します。以下3つをご紹介いたします。

① アジャイルの導入:

アジャイルとは、計画を立てるのではなく、最初に目標を設定し、段階的に進化させながら課題に対処する手法です。アジャイルを取り入れることで、組織は素早く変化に適応し、迅速な意思決定を可能にすることができます。

② 柔軟性を備えたリーダーの育成:

柔軟性を持つリーダーは、新しいアイデアに対してオープンであり、変化に対して積極的に対応できる力を持っています。このようなリーダーを育成し、組織内でリーダーシップを発揮させることで、全体のレジリエンスを向上させることができるでしょう。

③ 人材と企業文化への投資:

人材開発と企業文化の向上は、組織全体のレジリエンスを高めるために重要です。これにより、従業員はお互いを支え合い、困難な状況にも強く立ち向かえるようになります。資料のフォントの微調整よりも、「早めの判断と行動」を重視する文化を育てるための教育やトレーニングが、多くの企業にとって不可欠と言えるでしょう。


まとめ

今回は「組織レジリエンス」について解説しました。心理的安全性を基盤にし、アジャイルなアプローチや柔軟性を持つリーダーの育成、人材開発と企業文化の強化を通じて、組織全体のレジリエンスを高めることが大切です。今の時代の変化に適応し、組織の成長を促進するためには、新しいタイプのリーダーシップが求められていることを忘れずに。引き続き、「個に向き合う経営」の視点から皆さまに価値ある情報を提供してまいります。ありがとうございました。


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著者/飯田蔵土

EQIQ株式会社Attuned事業部営業責任者

外資系メーカー事業部長、管理本部長、コンサルティングファームM&Aアドバイザリーなどを経て現職。一橋大学大学院国際企業戦略研究科修了(MBA in Finance)

行動経済学会会員


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