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【ホワイトペーパーを紹介】ナッジの力-企業や政府が行動科学を使って行動に影響を与える方法-

Attunedシニア行動科学者 ブランドン・ロウトマンによるホワイトペーパー「ナッジの力 -企業や政府が行動科学を使って行動に影響を与える方法-」を公開しました。

企業や政府が、人々のよりよい決断を後押し、行動を変えていく「ナッジ」という考え方を活用していくうえで欠かせない知識について、英国政府や米国政府などのナッジ・ユニットで活躍した著者が解説。入門者〜専門家までを対象としています。

今回のブログでは、ホワイトペーパー「ナッジの力 -企業や政府が行動科学を使って行動に影響を与える方法-」で書かれていることを少しご紹介します。

また本ホワイトペーパーは、無料でダウンロードできます。

ナッジとは

18世紀にイギリスで成立した経済学は、人間が合理的に意思決定を行うことを前提としてその研究が進められてきました。その結果、人が行動 を変える非常に明快な理論を持つ様になったのです。

具体的には、ある人に何かをやって欲しいと思うなら、それに伴うベネフィットを増やしてコストを下げ、逆に何かをしてほしくない時にはベネフィットを減らして、支払うコストを上げればいいというものです。

しかし本当にそれが全てでしょうか?

1990年代以降注目を集めた行動経済学(行動科学)はこの考え方に疑問を投げかけ、人間のより非合理的な面にも目を向けるよう示唆しました。

そして生まれたのが「ナッジ」です。

ナッジとは「人々が自分にとってより良い選択を自発的にとれるように手助けする手法」で、行動科学の知見と原則に基づき、人がどのように意思決定を行い、人を取り巻く環境がその意思決定に対してどのような影響を与えるかを研究する領域において生まれた考え方です。

英国政府が公共政策の領域でナッジを使用したプロジェクトを行い、後に成功を納めたのをきっかけに、これ以降今日まで、多くの企業、非営利団体、そして国連や世界銀行を含む国際組織がナッジを活用しています。

ナッジは身近なところにも

例えばスーパーマーケットに買い物をしに行く時、ある商品が店内の目立つ場所に置かれていれば、それを買う可能性が高くなるかもしれない。 これは物理的な環境、つまり「陳列される場所」が何を購入するかという意思決定に影響を与えているということです。スーパーマーケットの食品陳列の決め方には、様々なものがあるでしょう。しかし食料品店には、意図的であろうとなかろうと何らかの配置があり、それは結果として他の特定の品目の購入を促すことになっているのです。つまり、買い物客の意思決定は独立したものではありえないのです。

ナッジを用いる際には、リバタリアン・パターナリズム*に合致する範囲内で環境をデザインすることが大切です。具体的には、不健康なものよりも健康的なものを店の目立つところに置くということです。そうすることで、スーパーを訪れた人は健康なものを買うことを強制されず、体にいいかどうかを考えずに食品を選ぶこともできます。

*リバタリアン・パターナリズム:その名前の通り政府の役割を最小限 にしか認めないリバタリアニズム(Libertarianism)と、強い立場のもの が弱い立場への介入することを認めるパターナリズム(Paternalism)を組 み合わせた言葉です。 この哲学では、個人の行動を制限せず、人々の行動の結果が「よりよく」 なるように介入、誘導することを肯定します。

また健康的な食品を目立つところに置くことには、消費者が病気にかかりにくくなり、長生きすることができるという明確なメリットがあります。 一般的には、社会全体の医療費も減ると推測することができます。 このような結果は、ナッジのパターナリスティック(パターナリズム的なもの)な側面を満たしています。

ほとんどの消費者は、このような誘導に気づかないでしょうし、気にすることもないでしょう。むしろ指摘されれば「もっと健康的な食事をするように勧められるのはいいことだ」と肯定的に受け止めると思われます。 逆に食料品店が消費者を「衝動買い」させるために、お菓子などの不健康なものをレジの近くに置いていることを指摘されれば、多くの人がその行為に反対することでしょう。

さらにいえば、ナッジの効果は決して小さなものではなく、費用対効果も十分に期待することができます。健康的な食品を食料品店の目立つ場所に置くことは、価格を大幅に下げるよりもはるかに売り上げを伸ばすかもしれません。今度スーパーに行ったときには、食品のレイアウトが自分の意思決定にどう影響しているのか、ぜひ一度立ち止まって考えてみてください。少なからず影響を受けていることに気づくでしょう。

これはあくまで一例であり、理論的には人が意思決定を行う場面にはどこでもナッジが働いています

企業はナッジをどのように活用するのか?

では具体的にナッジを企業はどのように活用しているのか。ホワイトペーパーの中から抜粋してご紹介します。

これらのお示しした具体例のように、ナッジをうまく活用するためにはどうすれば良いのでしょうか。その出発点は、望ましい行動を実行しやすくする方法について考えることです。その後設計したものを実行し、検証と改善を重ねていくことで、成功と呼べる段階に近づいていき、施策としてより良いものとなっていきます。

ホワイトペーパー『ナッジの力』

-企業や政府が行動科学を使って行動に影響を与える方法-

ここまでナッジの概要と、具体的に私たちの身の回りや企業においてどのように活用されているのかをお話してきました。ホワイトーペーパーではAttunedシニア行動科学者 ブランドン・ロウトマンによって、科学的研究の紹介も交えながら、「ナッジ」についてより詳しく・わかりやすく解説をしています。

全文無料でお読みいいただけますので、ぜひ以下からダウンロードください。

最後に、ナッジの活用とAttuned

Attunedは未来において、重要な役割を果たすことを確信しています。

現在Attunedは、従業員がより効果的にコミュニケーションを取れるよ うになるため、内発的動機づけを活用したナッジプログラムを作成しています。具体的には、従業員一人ひとりのモチベーションに合わせたナッジを作成し、マネージャーの実践をサポートするものです。

私たちは、この新しい機能は大きな可能性を持っていると信じています。 一人ひとりに合わせたナッジを活用することで、マネージャーはより質の高い会議を運営できるだけでなく、より効果的なコミュニケーションをとることができるようになります。従業員は相互理解を深めることで、より生産的に、そして仕事に満足できるようになり、団結力や職場の人間関係も向上するでしょう。

まだ開発途中ではありますが、最初の取り組みで非常に有望な結果が得られています。私たちは、このような例え小さな変化が、組織が従業員をマネジメントし、より良い関係を築いていく方法に革命を起こすと信じています。


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