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【セミナーレポート】内発的動機を “ナッジ” に使った 1on1 ミーティング入門

7月13日(火)、1on1エバンジェリストとして活躍されている堀井耕策さんに Attuned エバンジェリストに就任いただいたことを記念して、公開キックオフセミナーを開催いたしました。

堀井さんは、元ヤフー株式会社で1on1ミーティングの浸透を人事の立場で主導してこられ、 現在は社外にて1on1ミーティングの導入コンサルティングや研修を手がけていらっしゃいます。

今回の公開セミナーでは、1on1ミーティングが必要とされている社会背景を企業の事情を踏まえた上で解説いただいた上で、 上司と部下の双方に意味のある1on1ミーティングを作っていくための仕掛けとしての内発的動機を使った1on1ミーティングのありかたや、 内発的動機をナッジに使った1on1ミーティングについて提案していただきました


講師:

堀井 耕策 氏
1on1 エバンジェリスト | Attuned エバンジェリスト

年齢: 44歳
出身: 横浜市(現横浜在住)
職業: 1on1エバンジェリスト/研修講師

日本NCR株式会社にて、ITソリューション営業(POSシステム)に携わった後、ヤフー株式会社にて営業企画・事業企画、人事(人材育成、組織活性、社内研修講師等)、グループ会社人事責任者(出向)を経験。2021年7月、独立。
2020年からは成城大学での講師も務めている。

https://note.com/1on1comm/


【目次】

  • 1on1は部下を支援する対話の場である

  • 縦と横のコミュニケーションを使い分けて思考を深める

  • 組織の成功循環モデルから逆算して1on1を使う

  • 内発的動機の可視化で関係の質を向上させる

  • 診断結果を組織の中でどう活かすか

1on1は部下を支援する対話の場である

まず1on1ミーティングをなんのためにやるのかという問いについて、僕は部下を支援する、そして対話の場であると捉えています。

その前提に立ち、目的が対話をしながら成長を促進させることであるということ、そして目標達成のために上司としてどんな支援ができるのかという話を1on1ミーティングで行えるととても効果的です。

面談と1on1は違います。面談と聞くとワクワクしない方の方が多いと思うのですが、それは面談ではどうしても上から下に伝えるという要素が大きくなってしまうからだと思います。だから何を伝えられるんだろうなと不安になってしまう。面談と1on1の違いは立ち位置の違いでもあるかもしれません。

縦と横のコミュニケーションを使い分けて思考を深める

日本企業には縦のコミュニケーションが多い

1on1の成功の秘訣は、あくまで部下を支援しその成長を促進するためにはどうしたらいいのかというところがポイントになっています。従来型の組織では縦コミュニケーションがほとんどです。上司から部下に指示命令や進捗確認をする。イエスかノーを決める議論をする。そして部下からは進捗を報告し、連絡をする。困ったことがあったら相談する。

これがダメだと言うわけではありませんが、1on1ミーティングとなるとこの縦と横の使い分けが重要だと思っています。対話、すり合わせ、そして内省して振り返りをする、それに対して深掘りをして気づきをシェアするという内容においてはやはり横方向でのコミュニケーションが重要になってくるんですね。ただ1on1ミーティングもやはり組織におけるコミュニケーションになってくるので、場合によっては横方向だけじゃなくて縦になる場合もあります。

どういう状況で部下に接すると部下の支援になるのか、それは縦方向で話すほうがいいのか横方向で話す方がいいのか、これは場合に応じて変えていくべきであると思っています。

具体的な行動の後に振り返りの機会を

コーチングは、横のコミュニケーションになります。プロコーチとクライアントとの関係性は縦方向にはなかなかなりにくい。しかし組織に入ると確実に縦の話も出てくるので、この使い分けをすることによって部下の成長支援、目標達成に向けてどう支援できるのか、そういった思考が必要になってくると思います。

質問で「アドバイスばかりになってしまう」というお悩みをいただきましたが、アドバイスは基本的には縦です。そういった方はぜひ縦だけではなく横も意識していただき、対話・すり合わせをするという意識で行っていただくといいと思います。

具体的に言うと、何か経験をしたその直後に振り返りをしていただくといいと思います。具体的な行動、例えば接客やプレゼンなどをした後に「今の行動どうだったかな?」というような振り返りを、縦ではなく横のコミュニケーションとして行っていただくとより部下の思考という形が深まっていくのではないかと思います。是非そのような形で使い分けをしていただきたい。

組織の成功循環モデルから逆算して1on1を使う

次にこの1on1ミーティングの効果についてですが、これによって組織の成功循環モデルを回すという意識が非常に重要だと考えています。私たちは組織にいる以上、やはり何かしらの結果という形を出す必要があります。そういった場合に、どういった風に質を上げていけば結果に繋がるのかという部分までお考えいただくとより効果的な時間になると思っています。

関係と行動の質の変化が結果に繋がる

初めましてという状況であれば関係性が出来ていませんので、じゃあ関係性を高めましょう、そのためにお互いに自己紹介や雑談をしましょうとなるのがいい例ですね。

思考の質という話になった場合には、組織の中にいる人間がどこまで同じベクトルを向いているのかという点にぜひ着目していただきたい。

皆さんと皆さんの組織を考えてみたとき、関係の質、そして同じ方向にベクトルが向いているのかどうかを10点満点にした時に何点つけることができるでしょうか。その点数が低い場合にはどう合わせていけばいいのか。1on1をするのかもしくは上司からどこに向かっているのかという方針の話をするのかということを、その都度考えて実行するといったことをやっていただきたいと思っています。

関係の質があるからこそ行動の質が高まり、それによって結果の質というのも伴ってくると思っておりますので、今それぞれの質は何%なのか、どれくらいのとこにいるのか、そしてどこが課題でそれを解決するためにどんな話をしたらいいのかなどということを考えながら日々の1on1をしていただくのもいいのではないかと思っております。


内発的動機の可視化で関係の質を向上させる

そしてナッジ×1on1ミーティングについても触れさせていただこうと思います。前回のナッジセミナーにおいて、ナッジ=能力×動機×トリガーであるというお話がありました。これにも関連しますが、1on1ミーティングの中で重要なのは、動機とトリガーです。

さて皆さんは内発的動機をどのように理解されていますでしょうか。部下でもご自身でもいいのですが、どなたか一人思い浮かべていただいて、そのかたの「やる気スイッチ」をお手元にお書きになってみてください。その時いくつが出てくるでしょうか。上手く言語化できていないというお声も聞こえてきそうだなと思いますが、動機をどう理解するかというのは実際非常に難しいことです。

価値観と結びつく業務で「やりたい」という気持ちのスイッチを押す

そういった時にAttunedを利用していただくと、相手を具体的な行動に促すことができるようになります。1on1を通じて「あなたのやる気はスイッチここで、そして業務はこういったものですね。だからこれとこれを結びつけることによって行動してみようよ」と伝えることができるようになるのです。そうすることで行動する、行動することでいい結果が結びついてくる。やらされている感覚ではなく、自分でやりたいんだというスイッチを押すことができます。

部下のやる気のスイッチがどこにあるのかというのを理解しておくと、関係の質の向上はもちろん、思考と行動の質に繋がりやすくなります。人と接する時はつい自分と同じだと思いがちですが、価値観というのは経験によって得られるものですので、経験が違えば価値観も一人ひとり違ってきます。従ってモチベートされるポイントも一人一人違う。だからこそそれをしっかり言語化していく必要があります。

対話・共有で組織の関係性を強化する

そして実際どのような場面で使うかというと、例えば僕だと利他性と成長がすごく強いんですが、そんな相手に対して「なぜあなたは利他性がそんな必須要件になっているのですか」「あなたにとっては成長とは何ですか」こういった対話をしていただくと、相手の気持ちが非常によく見えてくるようになります。相手の気持ち、性格やしたい仕事が見えてくると実際の業務と繋がりやすくなりますよね。

関係性の質についてのよくある誤解は「仲良しグループになりましょう」というものですが、これは別に悪いわけではありません。ただし組織において大事なのははいかにやっぱり結果を生み出すために お互いの信頼関係をつくるかということです。お互いがどんな人なのか、どういうところにスイッチがあるのか。そこを上司と部下だけではなく、組織の皆さんが知っておくことはそういった意味で効果的です。

つまりアセスメントを受けっぱなしにするのではなく積極的にシェアをする、エピソードを皆さんで語り合っていただくと、組織の関係性が一気に高まっていくのではないかと思います。是非そういう使い方をして組織内の関係性を向上させてから、具体的な結果に繋げていただきたいと思います。



診断結果を組織の中でどう活かすか

このアセスメント結果の使い方については、大きく3つあると思っています。

とくに③、相手の内発的動機がどんな時に発動されたのかをエピソードとして語っていただくと、本当に面白いです。どんな経緯があってそれが相手の内発的動機になっているのか、それがわかると本当にいい組織になっていと思いますし、そういったシナジーを生み出せる組織づくりをぜひ行っていただきたいと思います。

アセスメントを受けて終わりという形ではなく、気づき、感じたことを共有してもらう1on1にしてもいいと思います。エピソードを語ってもらうことによって、本当にその人を深く理解することができるようになっていくので、こういう時間を作っていただけると良いのかなと思います。

ナッジと1on1を組み合わせることで行動を変えていく

そしてナッジ×1on1ミーティングという観点では、内発的動機を理解することで関係・思考・行動の質を1on1ミーティングを使って高めていけるとより良い結果という形に結びつきやすくなります。

1on1ミーティング部下の成長のための時間だと先程お伝えしたと思うのですが、成長ということにおいてまず行動の質が変わることは非常に重要だと思っています。

成長して何がいいのかというと、行動の質が変わる。昨日できなかったことができるようになる。質が上がっていく、スピードが上がっていく。クオリティも変わっていく。こういった行動の変化が作られていくことは間違いなく価値のあることだと考えています。ぜひ実践してみていただきたいと思います。

こちらのセミナーの動画はオンデマンドでこちらからご覧いただけます。

人や組織、チームのモチベーションの根源を見える化、改善するAttunedの説明資料のダウンロードはこちらから。


【関連セミナー情報】

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日時:2021年8月31日(火) 14:00〜14:50

「1on1ミーティングは誰でも簡単に始められる。だけど、目的を達成する“良い”1on1ミーティング”を提供できていない」という、マネージャーの切実なるジレンマを解決します。