内発的動機以上に重要なことは、組織とフィットするかどうか

メンバーが組織とフィットすることは高い成果に繋がる

ドイツのゲーテ大学フランクフルト校の副校長で社会心理学者であるヴァン・ディック教授によれば、人の内発的動機以上に重要なものがあるとすればそれは組織への適合性、つまり個人的および専門的な価値観が働いている会社の価値観とどれだけ一致しているかということです。

「私が自律性を追求する人である場合、その自律性を確保・尊重してくれる会社の方が私は幸せになれるでしょう。そうやってフィットする感覚は非常に重要なのです。自分が大切にしているのと同じ価値観を大切にしている、自分にとってぴったりな組織を見つけたられたなら、それは長期的に見て自分の幸せに大いに貢献してくれるでしょう。」

教授の研究の多くは、チームや組織内での社会的アイデンティティとその認識に関連しており、その研究の中でも自分よりも大きな何かの一部であると感じることが強力な動機づけになりうることを強調しています。

「私は社会的帰属と社会的相互作用が内発的動機づけの大きな部分を占めていると考えています。したがって、自分の帰属する会社やチームは、アイデンティティの一部であるため、チームを代表して良い仕事をしようとするのです。」

また彼らの調査により、組織への帰属意識が強い人は組織に誇りを持っており、組織のことを『彼ら』や『彼ら』ではなく『私たち』として話していることもわかっています。

そして組織の成功は個人的な達成や成功としても認識され自尊心に還元されるため、会社がうまくいくことを内在的に望むようになり、より高いレベルで仕事をするようになります。

マネージャーの仕事は部下の仕事を意義あるものにすること

 
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この概念は企業の格付けと求人サイトを運営するGlassdoorの最近のレポートにも反映されており、応募者は企業の価値観や文化をより重要視しているとしています。 『人事と採用の統計 2020』によると、求職者の79%は応募前に企業のミッションを検討しているのに加えて、 73%は企業の価値観が自分の価値観と一致しないと判断した場合、その企業に応募しないと答えています。

一方、66%の従業員は企業のミッションにモチベーションを見出し、64%は現在の仕事に留まる主な理由として企業のミッションを評価していることをあげています。また、企業文化や価値観は従業員満足度の最も重要な要素として位置づけられており、意外にも休暇手当てなどの福利厚生は最も低いスコアとなっています。

ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるテレサ・M・アマビール教授はこう言います。「ポジティブな感情、職場環境の好ましい認識、そして強い内発的動機を生み出すための最も重要なポイントは、仕事を有意義なものに進化させること、つまり重要なことを進めていくという感覚をつくり出すことです。」

また彼女によればマネージャーが身につけるべき教訓はごくシンプルです。部下が最も重要な仕事を進めるために必要なものに注意を払い、その仕事が重要である理由を伝え、進捗のサポートを提供することです。明確な目標、目標達成のための自由、十分なリソースと時間、失敗から学ぶための励ましを与え、あるいは避けられない挫折を和らげるなどの、強い内発的動機を持って前進し続けるための方法を提供していく必要があります。