社員定着率を気にしすぎるべきでない理由とは?
多くの企業にとって、社員定着率は今でも従業員満足度や人事考課などを評価する重要な指標の1つとなっています。しかし、これはいくつかの理由から、深い欠陥のある指標です。ここでは、その理由を4つに分けて解説していきます。
1. 社員定着率はコントロールできない指標である
物事がうまくいっているとき、少なくとも表面上は、何か変化を起こそうというインセンティブはゼロに近いでしょう。しかし、経験の浅い管理職が犯すミスをすべて予見したり、誤解される前に電子メールのやり取りをすべてキャッチしたりすることは不可能ですその結果、どこかで歯車が狂ってしまったとしたら、離職率が急上昇し、社員定着率は減少し会社への大きなダメージとなります。
もちろん、その問題が解決しない限りは、事態を収拾するために必要な裁量や予算が与えられるでしょう。しかし、問題の根源やシステムを解決していなければ、事態が再び悪化するのは時間の問題です。そのため、本来は人々が職場で有意義なことができるように支援すべきなのに、表面的な問題に対処するだけで満足してしまうのです。
2. 無理に引き留めることは、結局は裏目に出る
先進的な企業の中には、自主的な退職に対して最大9カ月分の給与を支給するところがあることをご存知ですか?これは社員定着率の観点から見るとクレイジーに聞こえますが、実は理にかなっているのです。このようなインセンティブは、あなたの組織を巣立った人たちが、別の場所でキャリアを積んで飛躍することを促します。そうすれば、人員に余裕が生まれ、新鮮なアイデアや視点を持った人材を迎え入れることができるのです。
社員一人ひとりを何としてでも引き留めようとすることは、時間がかかり、理想的とは言えません。前向きな職場環境を作り、優秀な人材が幸せでいられる環境を整えることは重要ですが、社員定着率は必ずしもそれを測る最適な指標ではありません。
3. 人事部以外、社内で離職率や定着率をそこまで気にしていない
正直なところ、CEOや経営幹部レベルでは、離職率が2桁になったときだけ話題にします。取締役会は、売上とコンプライアンスに関心があり、投資家は一人当たりの売上高を気にしますから、人数が少なければ資本効率が上がり、株価も上がります。
もちろん、営業やマーケティング、エンジニア職の方達は、後任を探すのに時間がかかると不満を漏らすでしょう。しかし、面接時間を費やしても人員が増えれば、ほとんどの人はすぐに文句を言わなくなるでしょう。
4. 社員定着率を重視すると、包括的なリーダーシップが育たない
人事部は組織全体の多様性と包括性に責任を負っていますが、会社経営に関しては一般的に代表権が欠けているのは皮肉なことです。つまり、会社の予算がどのように計算され、業務目標がどのように設定され、会社全体の戦略がどのように定義されるかについて、発言権がないのです。それなのに、ストレスで燃え尽きた従業員の後処理をしなければならないのです。
定着率の先にある新たな世界
では、これらの問題を解決するにはどうしたらよいのでしょうか。そして、社員定着率にこだわらないのであれば、何にこだわるべきなのでしょうか。
まず、このサイクルを断ち切るには、次のことが必要です。
会社が大切にしていることを担当する。
社内の変革を積極的に推進する。
会社の将来についての議論に参加する。
ほとんどの企業は、価値観や企業文化に深い関心を寄せていますし、少なくとも、それらに関心を寄せていると思われたいと考えています。CEOがよく口にして、ウェブサイトに大きく掲載されている情報も、こうした事柄に違いありません。また、ルールが明確でない場合に、意思決定を行うための標準的な代替手段でもあります。しかし、採用プロセスや人事考課、チームミーティングなどでは、どんなに素晴らしいミッションステートメントも希薄になっていると感じることがよくあります。
しかし、そうでないとしたらどうでしょう。
Attunedでは、定着率よりもはるかに価値のある指標を測定しています。それは、従業員のモチベーションを測定するのです。これにより、企業文化のあるべき姿ではなく、現状を明確に把握することができます。このデータをもとに、上流からの問題を解決し、企業文化を発展させることができるのです。
結局のところ、あなたにとって重要なのは、離職者を減らすことと、強力で信頼できる企業文化を築き、維持することのどちらなのでしょうか?
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Oleg Koval
Head of Growth
セミナー「企業成長の鍵:ワーク・エンゲイジメントの重要性と最先端のHR分析事例」の要点をまとめました。弊社と業務提携をしているHR Buddy 研究所の研究員である南遥夏様に「ワーク・エンゲイジメントとHR分析事例」についてお話し頂きました。