優秀な人材獲得のコツを不況から学ぶ 〜不確実な世の中で大切な『柔軟性』〜
ここ最近、欧米で特にITやテック系の雇用市場の不安定さが増大した結果、「オフィス出社」の義務化の流れが再来しており、柔軟性のあったワークスタイルが失われつつあります。また、インフレや株価の下落により、テック系のエンジニアが大量にレイオフされる事態も発生しています。
このような不確実な時代においての人事戦略を成功に導き、優秀な人材を獲得するためにはこれまでの不況が人材獲得に及ぼした影響を理解することが重要です。この記事では、リーマン・ショックを始めとした不況が優秀な人材の確保にもたらした影響を考察します!
リーマン・ショックとコロナ禍からの回復がもたらした似た変化
2008年の世界金融危機は、様々な意味で銀行セクターを壊滅させました。リーマン・ブラザーズが破綻してから約10年間、銀行や規制対象の金融サービス機関は、テック系の最も需要の高い人材を引きつけることができませんでした。
腐敗、倫理観の欠如、不誠実さがこの業界の代名詞となり、技術者を雇うには高額な派遣契約しかありませんでしたが、それさえも簡単ではありませんでした。
2023年になると、パンデミックの収束に伴い、高収益のテック企業がコロナ禍により雇用を増やしすぎたとして、たくさんの従業員をレイオフしました。
ダニエル・カーネマンの著書『ファスト&スロー』の中でWYSIATI(What You See Is All There Is)と呼ばれる認知バイアスがこのような不況に対しての対処でも多く見られます。ダニエル・カーネマンは、私たちが意思決定をするとき、自分が知っているものだけを考慮し、その質や量にかかわらず、それらを使って首尾一貫したストーリーを構築するという仮説を立てています。つまり、このストーリーは正確で、信頼できる必要もなく、ただ首尾一貫していればいいのです。
つまり、長い間、従業員の幸福とポジティブな文化の申し子であった雇用主が、2008年の世界金融危機やコロナ禍からの回復のような逆風が吹くとパニックになり、従業員を単なる労働者として扱う企業に成り下がってしまったということです。
1999年から2000年にかけてのインターネットバブル以来、初めてテクノロジー市場の信頼性が低下し、人材がレイオフに怯えているのです。このように、具体的な従業員の価値提案がない場合、企業はテクノロジー専門家の雇用に苦慮しているのです。
優秀な人材獲得のために大切な柔軟性
テック企業にとって収益性が優先される一方で、働き手にとっては柔軟性が優先され、それぞれが正反対の方向に動いているように見えます。これは持続可能なことではないので、何かを変えなければなりません。
今日、あらゆる企業で起きている一般的なシナリオを具体例として紹介しましょう:
ある保険会社に勤めるジョンさんは、最近、ハイブリッドワークの方針を見直しました。ジョンさんが勤める保険会社では最近ハイブリッド・ワーク・ポリシーが見直され、毎週2日はオフィスで過ごし、1日は直属のチームと過ごすことが義務づけられました。これにより、ジョンさんのチームは、毎週火曜日にオフィスにいなければならなくなりました。
このことは、ジョンさんにとって大きな問題です。彼のパートナーは病院でシフト勤務をしているため、勤務日をコントロールすることができません。小学校と保育園に通う3人の子供がいるため、誰かが家にいて送り迎えをしなければなりません。光熱費や住宅ローンの返済額が大幅に増えているため、余分な人件費を支払う余裕もありません。
その結果、ジョンさんは毎週火曜日にオフィスにいることを約束することができないのです。
このような状況や、従業員が直面するさまざまな相反する課題に対処できる柔軟性を備えた組織がどれほどあるでしょうか。
この臨機応変に個人の生活の違いを考慮し、対処できる柔軟性を持っている企業こそがこれからの不確実な時代の 優秀な人材の獲得戦略において強みになるのではないかと考えられます。
不確実な世の中での優秀な人材の確保
最も需要の高い科学やエンジニアのような人材を採用するAlphabetのポートフォリオ企業であるMoonshotは同社の人材戦略の一端を、グローバル人材採用のリーダーであるAJ Thomasの役職名から読み取ることができます:彼はカオスパイロットとも呼ばれています。
Harvard Business Review誌のNathan Furrによると、このカオスパイロットという言葉はデンマークの政治家Uffe Elbækが1991年に設立したビジネススクールに由来しています。このビジネススクールの構想は、エルベックが以前行ったプロジェクトに端を発しています。彼は、不確実な問題に対処するための新しいスキルセットを学生に教え、同様のスキルを必要としているビジネスリーダーに学生が教える機会を見出したのです。その基本的な学びとは、混沌の中からいかにしてイノベーションを起こすか、ということです。
Lars Schmidtの「Redefining HR」のエピソードで、AJは、2年間水面下にあった人事部門でカオスパイロットになったことについて話しています: 「人は常に学び、泳ぎ方を学んでいるのです。そして、この空間では、飛び方を学ぶことも必要不可欠だと思います」。
優秀な人材を獲得するための重要な変化
2008年の世界金融危機が金融業界の問題であったとすれば、2023年はテック企業にとっての人材に関する問題なのです。
成功する人材戦略はかつてないほど複雑で、実行が困難です。そして、優秀な人材を惹きつけ、維持するためには、このHRの分野でのイノベーションが欠かせません。
つまり、従業員のニーズとモチベーションに関しては、もはや「一長一短」ではないのです。従業員一人ひとりをよりよく理解するために、どれだけ科学的になる覚悟があるのか、自問自答する必要がありそうです。
Attunedでは、心理学者とデータサイエンティストのチームが、仕事に関係する内発的動機づけを洗い出し、クラスター化と検証を経て 11 個に絞り込み、それらの11の内発的動機のことを、動機づけるモノ・コトという意味で「モチベーター」と呼んでいます。
さらに、55の質問からなるモチベーションアセスメントを受けていただくことで、個人にとってどのモチベーターが最も重要なのか、どのような仕事で最高のパフォスを発揮するのか、どのような環境で最も活躍する可能性が高いのかを示すモチベーター レポートを提供し、ビロンギングを作り出し、DEI&Bを実践する職場作りの手助けとなります。
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James Alexander
Founder, Trive Talent